ギャルママに学ぶことは… 子どもも自分も大事に 孤立しない 新しいネットワークづくりのヒントも

 ■新訳男女 語り合おう■

 茶髪に付けまつげであでやかな服を身にまとい、ベビーカーを押してさっそうと街を行く。人は彼女たちを「ギャルママ」と呼ぶ。ただでさえ“孤育て”に悩む親が多い中、外見で敬遠され「ちゃんと子育てできるの?」と偏見を持たれることもあるという。それでも自分らしさを貫き、親としても頑張るギャルママたちに学ぶこととは‐。

 4月下旬、福岡県宗像市のカフェに4人の母親が集まった。ギャルママの子育てサークル「九州リアママコミュニティー らぶえんじゅ」のランチ会だ。

 4人は23~27歳で、20代前半までに結婚・出産を経験。福岡市と北九州市で暮らし、普段はインターネットや携帯電話で交流している。この日は両市の中間にある宗像市まで、1時間ほどかけてやって来た。

 「仲間に悩みを話せば心のもやもやが晴れる。孤独感をなくすのが一番の目的です」。サークルの代表を務める山口紫織さん(26)=福岡市=はそう話す。

 《晩婚化が進み、周囲の母親は5~10歳も年上で話が合わない。公園デビューしようにも少子化で近所に子どもはいない。地域のつながりは薄い。さらに外見で敬遠され…。ギャルママを取り巻く子育て環境はことのほか厳しい》

 結成のそもそものきっかけは、山口さんが6年前、ネット上の会員制交流サイト「ミクシィ」で若い母親グループに参加したことだった。専門学校に通っていた19歳で妊娠し、第1子を産んだばかりで「育児に必死だった」ころ。ミクシィの親たちも似たような状況だったが、一方でファッションやメークの話題で盛り上がっていた。

 「おしゃれなママたちばかり。私もそうしていいんだと目が覚めました」。ネット上で仲間を募り、現在では九州各地に約200人の会員がいる。

 《明治大学情報コミュニケーション学部の江下雅之教授(社会学)によると、1990年代に“普通のサークル”で疎外感を抱いた人たちが集まったのが出発点。「ギャルでいたい」との主張が強く、見た目も含め同じ価値観で結束し、家計のやりくりを情報交換するなど互助的な結びつきでもあるという》

 「フリーマーケットで買った子ども服にリボンを付けたら500円くらいでかわいくなりますよ」「料理にモヤシや豆腐を入れると安くて量が増やせます」…。この日のランチ会でも、生活感あふれる会話が繰り広げられた。

 1~6歳まで4人の子を育てる山口さんをはじめ、若くして家庭を築いた彼女たちの多くは、家計が厳しい。山口さんの夫は同い年で、昼は運送会社に勤め、夜は別のアルバイトへ。それでも生活するので精いっぱい。山口さんは家事に専念しているという。

 《女性の社会進出とともに高学歴化が進み、男女を問わず高卒での就職口は縮小傾向にある。ほとんど働いた経験がないまま結婚した彼女たちが働こうにも求人は少ない。職がなければ保育所も利用できない。そんな背景ものしかかる》

 それでも「収入が少ない分、創造力があって工夫するママが多いんです」と山口さん。そこには「自分がしたいおしゃれをするには、育児も家事もちゃんとやる」との気概もある。

 子どもに一生懸命になりすぎて自分を見失う親もいる。その点、子育て支援雑誌を発行するフラウ主婦生活総合研究所の社長で「らぶえんじゅ」と協力してイベントを開く濱砂圭子さん(59)は「ギャルママさんたちは子どもも自分も大事にしている。だから生き生きしている」と評価する。

 《「地域で子育てを」と叫ばれる。しかし、地域社会の再生を子どもの成長は待ってくれない。ネット社会を活用して結びつき、親自身が楽しめて孤立しない新しいネットワークづくりのヒントを、彼女たちが教えてくれた》


=2013/05/11付 西日本新聞朝刊=

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