同性の“結婚”どう考える 当事者3組 いま そして これから

カナダで結婚式を挙げ、結婚証明書を取得したアキさんとマリさん 拡大

カナダで結婚式を挙げ、結婚証明書を取得したアキさんとマリさん

 同性カップルの結婚を認める動きが、欧州を中心に世界に広がっている。結婚と同等の権利を保障するパートナーシップ法も含めると約30カ国に上る。一方、日本では目立った動きは見られない。当事者たちは現状をどう捉えているのか、3組のカップルに聞いた。

 ●(1)カナダで挙式、企業側にも変化

 ▼アキさん(31)とマリさん(30)の場合

 2011年8月17日、夏期休暇を利用してカナダで結婚式を挙げた。式に憧れやこだわりがあったわけではない。同性婚が合法のカナダでは、他国の同性カップルにも結婚証明書の発行を認めているからだ。

 2人は7年前から、大阪でLGBT(同性愛のレズビアンやゲイ、両性愛のバイセクシュアル、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの総称)の交流会を開いている。

 「当事者の多くが将来の展望を描けずに苦しんでいる。私たちがチャレンジすることで、若い世代に希望を与えたいと思った」

 アキさんはウエディングドレス、マリさんは大好きなブランドのTシャツを身に着け、足元はそろいのスニーカー。日本人でも、女性同士のカップルでも、好奇の目を向けられることはなく、通りすがりの人たちも祝福してくれた。

 帰国後、マリさんは「今の状況を変えたい」と勤務先の外資系企業にカミングアウト(公言)した。会社では、独身者と既婚者で転勤に伴う引っ越し手当の額が違う。マリさんにも、既婚者と同じ額が支給されるようになった。

 「異性愛カップルを否定したり、壊したりしたいわけじゃない。周囲のちょっとした配慮で、LGBTも生きやすい社会になる。それは、異性愛者がどれだけ一緒に歩んでいけるかにかかっていると思う」

 ●(2)その時が来たら、裁判を考える

 ▼眞野豊さん(31)と健一さん(20)の場合

 交際2年半。互いに結婚したいと思う時が来たら、男女間に限る法律婚を変えるため、裁判を起こそうと考えている。「誰もが結婚を選べる、同じスタートラインに立てるのが本来あるべき姿だと思うから」

 健一さんはいつか、子どもが欲しいと考えている。日本では同性カップルが里親になれない。知人から精子提供を受けて産み育てるレズビアンのカップルはいても、ゲイは海外で代理母を探す以外に方法がない。この仕組みはいつか変わる日が来るだろうか。

 同性カップルの多くが、年金や健康保険といった法的保障がないことに不安を抱えている。だが、実際に声を上げる人は少ない。「昔は、周囲にカミングアウトできる人はほんの一握りだった。今、世の中は変わりつつある。社会を変えるためには、自分たちが行動を起こさなければ」

 ●(3)受け入れる土壌がなければ……

 ▼メグミさん(45)とランさん(50)の場合(ともに仮名)

 一緒に暮らして7年目。双方の家族とは料理を持ち寄ったり、旅行をしたりと仲が良い。2人の関係は感づかれているかもしれないが「同居人」と扱ってくれている以上、本当のことは言えない。

 お互いに何かあったときのことを考えると不安はある。家族でなければ医療行為の意思決定にも関われない。でも、仕方がない。以前、親は「家族です」といって病室に入れてくれた。「他のカップルに比べれば恵まれているのかも」。マンションは買わない。財産は持たない。「離れ離れの墓に入っても、向こうで会おう」と約束している。

 結婚は、周囲から色眼鏡で見られそうで心配だし、重い。パートナーシップ法ができたらいい。同性カップルだけでなく、友人同士でも使えるような。「孤独死する人が増えるくらいなら、支え合って生きていける仕組みがあれば」と思う。

 ただ、法が整備されても受け入れる土壌がなければ、周囲を巻き込むことを恐れて踏み出せない。「まずは、私たちのようなカップルが世の中にたくさんいるんだということを分かってほしい」

=2013/05/18付 西日本新聞朝刊=

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