【人の縁の物語】<17>熟年男女に出会いの場 「太陽の会・福岡」代表の増田さん 30年で284組結ぶ

「太陽の会・福岡」の30周年記念式典で、カップルになった元会員に囲まれる代表の増田歌子さん(2列目右から2人目) 拡大

「太陽の会・福岡」の30周年記念式典で、カップルになった元会員に囲まれる代表の増田歌子さん(2列目右から2人目)

 50歳以上の熟年男女が結婚相手を探す場を提供する民間団体「太陽の会・福岡」(福岡市)が創立30周年を迎えた。高齢化が進み、死別や離婚で独り身になった後の時間が長くなり、中には孤立する人もいる。出会いの場がますます求められる中、30年間代表を務めてきた増田歌子さん(85)は「死ぬまで続けます」と決意を新たにする。

 「還暦祝いに子どもから万年筆をもらい、妻からは離婚届を渡されました」(65歳・男性)

 「夫と死別して13年。娘が成人し、1人で生きていくのが寂しくて…」(57歳・女性)

 会員は現在83人。月に1回、集団お見合いを開き、さまざまな事情を抱えた男女が参加する。共通するのは「このまま1人で老後を過ごすのは寂しい」という思いだ。

 増田さんも小学校教諭時代の40歳で夫を亡くしている。再婚を考えたこともあるが、周りの男性は既婚者ばかりで実を結ばなかった。その後、雑誌で熟年男女の縁結びをする団体があることを知り「これが私の仕事と直感しました」。

 1983年、全国組織の支部として出発した。

 当初は死別して入会する人が多かった。その後、夫の定年を機に別れる「熟年離婚」も話題になり、離別者が増えてくる。50代中心だった会員の高齢化が進み、70代も目立ってきたという。

 福岡教育大学名誉教授の高橋久美子さん(家族関係学)は84年と2009年に、全国各地の太陽の会会員を対象に意識調査を実施している。25年間の変化を見ると、65歳以上の会員は女性が3%から20%、男性も49%から61%に増加。また、子どもに頼りたいことは「経済的」が女性15%、男性20%だったのが、ともに2%に激減。「介護」も女性44%が19%に、男性53%が10%に減った。

 核家族化で子どもと離れて暮らすケースが増え「迷惑をかけたくない」という親心がのぞく。高橋さんは「家族の縁が薄くなったことも読み取れます」と分析する。

 母の日の今月12日、福岡市で30周年記念式典が開かれた。この中で、会で結ばれたカップルでつくる「福岡きずな会」の会長、小田鴿介(こうすけ)さん(70)が「増田先生の使命感と熱意で284組の良縁が生まれた。私たちのお母さんです」とあいさつし、増田さんにカーネーションの花束を渡した。

 高齢化が進むにつれ、需要が高まる熟年男女の出会いの場。会則が緩やかな類似団体が増え、インターネットのお見合いサイトも盛んになっている。そんな中で「太陽の会・福岡」が一線を画すのは、増田さんという縁結び役の存在がある。会を通さずに正式交際はできないといった規則に反すると厳しく叱り、悩める会員には親身になって接してきた。

 「胸がいっぱいです」。花束を受け取った増田さんの瞳がにじんだ。

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 次回の集団お見合いは6月9日に福岡市で開催。有料。参加希望者は太陽の会・福岡=092(731)2431。

=2013/05/21付 西日本新聞朝刊=

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