性の問題 「自分のこと」として 福岡女子大生がキャンペーン 勉強会など企画、報告書に 固定観念にも疑問投げかけ

キャンペーンの報告書。時代に合った性教育の必要性などにも言及している 拡大

キャンペーンの報告書。時代に合った性教育の必要性などにも言及している

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 「もっと。カラダのこと、セックスのこと」‐。こんなテーマで、福岡女子大学(福岡市東区)の学生有志5人が昨年末、学内キャンペーンに取り組んだ。性の問題を身近に考えてもらおうと、生理周期や避妊に関する勉強会を開いたり、避妊具を配布したりと、さまざまな活動を実践。このほど報告書もまとめた。この中で学生たちは、性の情報が氾濫する現状や社会の固定観念も「自分のこと」と捉え、疑問を投げかけている。

 「性感染症や中絶といった性の問題を、自分のこととして捉えていない学生が多いことに危機感を抱いたのが始まりです」。3年生の川畑柚香子(ゆかこ)さん(20)は、キャンペーンを企画したきっかけをそう話す。

 5人は、学生自身で課題を見いだして学ぶ「体験学習科目」の履修生。キャンペーンはその一環で、まずは学生の意識を知ろうと学内アンケートを実施した。

 その結果、30人(設問により45人)が回答したうち「タンポン、ピルを使ったことがある」はわずか10%ほど。「生理周期のうち妊娠の可能性が低い期間は?」の回答はまちまちだった。性感染症検査を受けたことがある人はゼロ。生理や性周期の知識が不足し、性について考えること自体に抵抗感を持つ学生が予想以上に多かった。

 一方、日本性教育協会の調査(2011年)では、大学生は女子の46・8%、男子54・4%が性交渉を経験。74年の調査開始時は女子11%、男子23・1%で、30ポイント以上増えていた。

 経験率は高いのに知識が不足している‐こうした現状を踏まえ、学生たちは勉強会や講演会を自主企画。報告書の中では「私たちの世代では性の自由化が進んでいる。時代に合った性教育にシフトしていくことが求められる」と提言した。

 ただ、経験率は2005年(女子61・1%、男子61・3%)をピークに減少傾向にある。この点にも着目し、報告書で「男女とも(異性との交際に消極的な)草食化が進んでいるのでは」などと分析した。

 キャンペーンの実践を通し「周りには女・男はこうあるべきだという考え方が浸透している」とも実感。報告書でも「性をめぐる固定観念」を問い直した。

 この中で川畑さんは、中学時代に教室で「せーし(精子)って?」と発言したところ、女性教員から「女がそういうこと言うの、みっともない」と言われた体験を紹介。「男性が性をオープンに語ることは当然で、女性ははしたない。こうした風潮が、妊娠や性感染症についてきちんと考えることを妨げているのでは」と問題点を見いだした。

 なぜ、女性は性を語りにくく、語ることを阻まれてきたのか。キャンペーン期間中、性やジェンダー(社会的性差)に関する書籍も多い北原みのりさんの講演会も企画し、共に考えた。

 この中で北原さんは「女性と男性では情報があまりに違う」とし、男性の性に比重が置かれてきた社会構造を指摘した。女性については「受動的になりがち。女性誌でも『愛あるセックスをしよう』という特集をよく見掛けます。男に愛されよう、選ばれようという目線なんですね」と分析。最後に「誰もが欲求もno(断る権利)も等しく持っている」と語り掛けた。

 一連のキャンペーンを通して「自分の中の固定観念にも気づいた」「嫌なもの、けがれなどと目を背けず考えたい」「女として、というより自分のこととして考えたい」と学生たち。担当の和栗百恵准教授は「単に性の知識だけでなく、さまざまな規範や社会の問題をきちんと見つめ、俯瞰(ふかん)しながらも自分のこととして、主体的に向き合い行動してほしい」と話していた。


=2013/05/25付 西日本新聞朝刊=

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