人の縁の物語<18>産後の母親に寄り添う 専門職養成団体代表の丑田さん 「孤立減らしたい」

認定式でドゥーラたちと記念撮影をする丑田香澄さん(手前) 拡大

認定式でドゥーラたちと記念撮影をする丑田香澄さん(手前)

 出産直後の母親には心身両面で大きな負担がかかる。この大切な時期に、核家族化で実家にも頼れず、孤立する母親が増えている。そこで産後ケアの専門職「ドゥーラ」を養成する団体が昨年3月、東京で誕生した。代表を務める丑田香澄さん(28)は「産後に一人きりになるお母さんを一人でも減らしたい」と語る。

 「おせっかいだけど、価値観を押しつけない。産後で不安な母親の心を支え、寄り添う存在」。丑田さんはドゥーラをそう説明する。

 語源はギリシャ語で「他の女性を支える経験豊かな女性」を意味する。産後の家事や育児を支援し、話し相手にもなり、緊急時は病院や行政とつなぐ役目も果たす。米国では助産師とは別に職業として確立されている。

 日本での養成には、丑田さん自身の経験が反映されている。3年前に長女を出産した際、多量の出血があった影響で1カ月ほど体力が戻らず、体を起こすのもやっとの状態だった。子どもをあやすのもきつかった。

 心も不安定になった。初めての出産で戸惑うことばかり。妊娠を機に仕事を辞め、24時間続く子育てに「社会から取り残される」という不安も常に抱えていた。子どもが泣きやまず、一緒に大泣きしたこともある。

 転機は、別の産後ケア団体が主宰する講座に参加したことだった。バランスボールを使って産後の体をケアすると同時に、仕事や人生、パートナーとの関係について話し合うワークショップがあった。

 そこで出会ったのは、出産後も仕事と子育てを楽しむ母親たち。子どもの話題が中心ではなく、自分がどう生きたいかを語る姿に刺激を受けた。ママ同士から一歩踏み込んだ「私同士」の関係が心地よく「私も人を元気にする仕事をして、子どもにその姿を見せたい」との思いが膨らんだ。

 同じころ、助産師の宗祥子さんと知り合った。都内に「松が丘助産院」を長年構え、産後に孤立する母親の多さを危惧していた。二人は意気投合し、東京都助産師会の後援で昨年3月に設立された社団法人「ドゥーラ協会」の代表になった。

 1期生は12人。30~50代の主婦や会社員、保健師らが参加し、妊産婦を取り巻く環境や乳児の食事など約50時間の講習と実習を受け、今年3月の認定式に臨んだ。その一人、森山紀久子さん(40)も「正解のない子育て」に悩んだ自身の経験を踏まえ「母親を受け止め、認めてあげられる存在になりたい」と意気込みを語っていた。

 12人は協会のホームページで紹介され、東京近郊の家庭で1時間2千円ほどの料金で活動している。丑田さんは「全国に広めていきたい。産後の女性が家族や地域とつながり、人の輪の中で生き生きと暮らしていければ」と話していた。

=2013/05/28付 西日本新聞朝刊=

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