福教大でフォーラム 理数学習に自由研究を 問題作り論証 楽しさ教えて

自由研究を取り入れた理数科教育の可能性について発表や論議があったフォーラム 拡大

自由研究を取り入れた理数科教育の可能性について発表や論議があったフォーラム

 理科や算数・数学の学びをより楽しく、深めるためにも、自由研究をもっと活用できないだろうか。そんな視点から、福岡教育大学(福岡県宗像市)で先日、教育フォーラムがあった。理数科教育を研究する財団法人「理数教育研究所」の主催。教師たちの授業での取り組みが発表されたほか、実生活に関連づけたり、活用力を高めたりするための学びについて論議した。

 福岡県柳川市立中島小学校の大谷栄治教諭(43)は、5年生の算数に自由研究を取り入れた。

 5年生は算数好きと嫌いの児童に分かれる分岐点とされる。割合や速さなどの抽象概念が登場すると、そこでつまずき、算数嫌いになる子どもが少なくない。

 そうした算数離れに歯止めをかけるためにも、大谷教諭は「子どもたちの探求心をかき立て、ワクワクするような授業ができないか」と、算数の授業や朝学習に自由研究を取り入れた。

 通常の授業では先生が出題し、児童が答えとその理由を考え、発表する。しかし、自由研究では児童自らが問題を設定することで、興味や関心が高まり、学びの動機づけ(なぜ学ぶのか)もしっかりする。

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 ただ、児童にとって、社会科や理科と自由研究は結びつくが、算数と自由研究はなかなかつながらない。大谷教諭はまず、児童に「なぜなぜ日記」をつけるよう求めた。日頃の生活の中で疑問に思っていることから、算数に関連する問題を引き出す狙いがある。

 ある児童は「持久走の自己目標(1年間で学校外周586周)を達成できるだろうか」という問題を設定した。児童は縦軸に周回数、横軸に月日を記してグラフ化。右肩上がりの線を延長すると、目標達成見込みが分かった。

 ほかにも「台形や平行四辺形のこまは回るか」(対角線)「ペットボトルや紙パックのジュースの量は本当?」(体積)などの問題を設定する児童もいた。実施したアンケートでは、算数への関心が低い児童に「興味関心が高まった」とする回答が目立った。

 発問にあたっては、「なぜそうなるのか」「本当にそうなのか」ばかりでなく、「別の場合はどうなるのか」「生活に使えないか」「外国ではどうしているのか」などの問い掛けもして、問題意識の裾野を広げるようにした。

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 「最近の子どもたちは、何か疑問があれば、すぐにインターネットなどで調べようとする。だが、調べる前に、考えること自体を忘れていないか」

 文教大学の永田潤一郎准教授は、そんな子どもたちの傾向を指摘。子どもたちが自分なりの知識と言葉を使い、考えるきっかけとして、自由研究の取り組みを評価した。

 高校の教科書「数学活用」の編集に携わった横浜国立大学大学院の根上生也教授も「数学の問題が解けるということと、分かるということは違う。問題を生徒自身が作り、まず小さな場合で考え、根拠となる原理を探し出し、論証する…。そんな楽しさを知ってもらいたい」。知識や技能の習得ばかりではなく、活用型の学びにつなげるためにも、自由研究は有効だとした。

 学力強化を柱にした新学習指導要領が導入される中、自由研究の時間をどう確保するのか、会場の教師たちは悩ましそうだったが、夏休みを前に、自由研究という学びの姿を見直す機会にもなったようだ。

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【ワードBOX】日本の理数科学力

 各国の15歳(高校1年生)を対象に、経済協力開発機構(0ECD)が2000年から3年ごとに実施している学習到達度調査(PISA=ピザ)。日本の数学的応用力は1位→6位→10位→9位▽科学的応用力は2位→2位→6位→5位と推移している。低落傾向にやや歯止めがかかった形だが、点数が極端に低い成績下位層が厚く、学力の二極化が目立つ。

 国際教育到達度評価学会(IEA)が小学4年生、中学2年生を対象に、1995年から4年ごとに実施している国際数学・理科教育動向調査(TIMSS=ティムス)。2011年調査で日本は、小学4年算数=5位、理科=4位▽中学2年数学=5位、理科=4位。03年調査前後から得点の上昇傾向が見られるが、学習への意欲や関心は国際平均に比べると劣っており、「学びからの逃走」と呼ばれる現象を裏付けている。

=2013/06/25付 西日本新聞朝刊=

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