地震で庁舎損壊、住民に影響 熊本県の自治体

 相次ぐ地震で多くの建物に被害が発生した熊本県では、災害対策などの拠点となる自治体の庁舎も損壊した。災害時に備え、あらかじめ移転先を定めているのは一部にとどまり、専門家は「今のままでは行政機能の回復に時間がかかって、被災した住民の対応に支障が出る」と懸念を示す。

 本庁舎にひびが入り、倒壊の恐れがある八代市。建物への立ち入りを禁止した上で、既に作成していた防災計画に従い各支所に機能を移した。それらはかつて合併した旧町村の役場。市の幹部は「老朽化した本庁舎よりも新しく、移転先にふさわしいと判断していた」と説明する。

 「耐震性の問題は分かっていた」と認めるのは宇土市の職員。4階部分が押しつぶされるなど、倒壊寸前の本庁舎は約50年前に建てられたものという。災害対策本部は、駐車場に張ったテントに移設。防災担当者は「事前に移転先を決めた記憶はない」と話した。

 最も被害が大きかった益城町も本庁舎に亀裂が入り、全職員が避難。移転先を探したが、主な公共施設は既に住民の避難所になっており、町の保健福祉センターで急場をしのぐ。県内の別の自治体職員も「役場より頑丈な建物はない。臨機応変に生き残った施設を使うが、その状況は想定しづらい」と漏らした。

 国の防災基本計画は、被災者の死活問題にもつながる行政のまひを防ぐため、各自治体には機能を維持する方法を策定するよう定めている。一方で、庁舎の移転先まで決める義務はなく、判断は自治体に委ねられる。

 自治体の庁舎や防災担当の職員らが被災する影響の大きさは、東日本大震災でも浮き彫りになっており、室崎益輝神戸大名誉教授(防災計画)は「事が起きてから移転先を探すのは遅すぎる」と警鐘を鳴らす。

 対策については、本庁舎以外に強固な公共施設を移転先として確保するのが理想とした上で「財政的に不可能なら、民間のホテルなどと事前に協定を結び、すぐ移転できる態勢を整えておくことが重要だ」と訴える。

PR

気象 アクセスランキング

PR

注目のテーマ