「治験1相」国内トップ 福岡市の相生会 協力者を募集

自由時間に漫画を読んだり、パソコンに向き合ったりと思い思いに過ごす治験協力者=福岡市博多区の博多クリニック 拡大

自由時間に漫画を読んだり、パソコンに向き合ったりと思い思いに過ごす治験協力者=福岡市博多区の博多クリニック

 新薬開発のために基本的に3段階に分かれて実施される「治験」。このうち、健康な成人を対象とする初期段階の「第1相」の実施件数が国内トップレベルという医療法人が福岡市にある。博多区や中央区などに治験実施施設を置く「相生会」。第1相を手掛ける医療機関の多くが東京や大阪にある中、相生会は九州で存在感を示している。

 治験とは、製薬会社が開発中の医薬品を患者や健康な人に使用してもらい、データを収集して有効性や安全性を確認する試験。製造販売の承認を国から得るには欠かせない作業だ。段階には、第1相、少数の患者を対象に行う「第2相」、多数を対象とする最終の「第3相」がある。

 相生会は1987年、福岡市西区に九州臨床薬理研究所を構え、第1相の治験事業を開始した。創設メンバーは4人の医師で、1人が鹿児島大卒、3人が九州大卒。その一人である入江伸理事長は「当時、国内での第1相の治験は、常勤医師なしで製薬会社などがやるのが一般的だった。万一、副作用が出たとき、医師がすぐ対処しなければ危ないのに、その認識が業界全体で低かった」と振り返る。

 参入したのは、そうした安全性への問題意識に加え(1)医師として診療施設の経営に乗り出すには、公的医療保険の将来に不安があった(2)新薬開発という医学の最先端分野に学問的興味があった-からという。

 相生会は現在、九州臨床薬理研究所が移転してできた九州臨床薬理クリニック(福岡市中央区)、博多クリニック(同市博多区)、ピーエスクリニック(同)、にしくまもと病院(熊本市)、墨田病院(東京)などを治験実施施設として設置、稼働させている。

 相生会の第I相の実施件数は2011年で約60件(抗がん剤向け治験は除く)。業界団体である臨床試験受託事業協会に加盟する22団体の合計実施数は約150件(同)で、その約4割を占めることから、相生会は「うちの件数は国内トップレベル」という。

 依頼主の製薬会社は東京、大阪に多いが、連絡や協議は電話、メールに加え、テレビ会議システムを活用し、遠距離の問題を解消している。入江理事長は「相生会の特長は、九大医学部をはじめ九州・山口の各大学医学部・薬学部、開業医と連携できること。いかなる分野の治験を依頼されても対応できる」と話す。

 ちなみに国内でこれまでに使用されたか、現在も使用中の糖尿病患者向けの注射薬インスリン製剤(約40種類)については、すべて相生会が第1相治験に関わったという。

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 相生会は第1相の治験協力者を募集している。医師による診察や検査を受けながら開発中の薬を使用してもらう。協力者は治験施設まで通って短時間で済むか、滞在する場合もある。期間は2~3日、2週間、4週間などさまざま。滞在の場合、診察などの時間はわずかで大半は自由。本など私物の持ち込み可。食事は相生会が用意。それ以外の飲食は禁止。日数や検査の種類などに応じて協力費を支払う。問い合わせは博多クリニック=092(283)7716。


=2013/07/05付 西日本新聞朝刊=

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