【こんにちは!あかちゃん 第7部】参院選 7千億円の行方<3>多子世帯 支えは十分か

4人の子どもと公園で遊ぶ母親。子どもが多ければ多いほど家計への負担は大きくなる 拡大

4人の子どもと公園で遊ぶ母親。子どもが多ければ多いほど家計への負担は大きくなる

 6歳の長男を頭に5歳、3歳、1歳。昨年の合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子どもの推定人数)が1・41だったことを考えれば、国が目指す少子化解消において、4人の子を育てる麻美さん(26)=仮名=の貢献度は高い。

 反比例して、家計は子どもが増えるにつれて苦しくなった。同い年の夫が、日中は運送業で働き、夜は宅配のアルバイトをして、月収は20万円ほど。米や野菜は実家から送ってもらう、服はフリーマーケットで手に入れる…。徹底した節約の一方で、低収入のため、麻美さんが住む自治体の場合、市民税と保育料は免除になる。そうして何とか暮らせてきた。

 それが今年4月、長男が小学校に入ってから雲行きが怪しくなる。給食費、学童保育の費用。自治体から全額助成されていた医療費も、就学後は一部負担になる。3人目を産んでから赤字になっていた月々の家計は、ますます苦しくなった。

 《多子世帯の負担を軽減する国の制度としては、児童手当を第3子以降、1万円から5千円アップする(3歳から小学校修了まで)-などがある。ただ、手薄感は否めない。政府の有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」も、5月にまとめた提言の中で多子世帯に対する支援拡大の重要性を指摘した》

 先日、夫が急病で入院した。昼も夜も働いてきた疲れが出たのかもしれない。その時は費用がすぐには工面できず、夫の実家に頼るしかなかった。「この先、夫にもしものことがあったら…」。考えると、不安でたまらなくなる。

 もちろん麻美さん自身、働いて家計を支えたい意思はある。これまでもコールセンターのオペレーターや倉庫の作業員の仕事をしてきた。ただ、20歳で結婚して社会人経験が乏しいこともあって、いずれも非正規の職しか見つからなかった。

 正社員なら保障される育児休業は適用されず、4度の出産のたびに辞めざるを得なかった。今は保険の外交員として登録しているが、4人の子の育児が忙しく、ノルマどころではないのが実情だ。

 そこで新しい仕事を探している。しかし、求人案内を出している企業に問い合わせても、小さな子がいるというだけで面接までたどり着けなかったり、いきなり電話を切られたりすることがほとんどだという。

 《総務省の労働力調査によると、若年層(15~34歳)の完全失業者は昨年平均111万人。完全失業率は6・3%と前年に比べて0・2ポイント低下したものの、全世代の4・3%より高い。ただでさえ若い世代の雇用状況は厳しいのに、子どものいる若い親となると、さらに狭き門になる》

 きょうだいで助け合ったり、上の子が下の子の面倒を見たり。そんな場面を見ると「たくさん産んで良かった」と思う。親同士の交流も広がった。悩みを分かち合い、密室での育児に行き詰まる“孤育て”とは無縁の日々を送っている。

 「子どもの数だけ“幸せ度”が高くなる。昔みたいに、子どもが多いっていいなって言える世の中になってほしい。私も10人くらい欲しいな」。そんな願いがかなえられる社会になるだろうか。 (床次直子)

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 ●メモ=夫婦の子どもの数

 国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査(2010年)によると、夫婦が生涯にもつ子どもの平均人数(完結出生児数)は1・96人で、初めて2人を下回った。子どもの数は、0人6・4%、1人15・9%、2人56・2%、3人19・4%、4人以上2・2%だった。子どものいない夫婦と一人っ子の夫婦が増え、3人以上の子どものいる夫婦は減っている。

=2013/07/11付 西日本新聞朝刊=

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