「古里が戦争の渦中に」 鹿児島各地で反対の声 安保法案強行可決 中国の脅威から賛成も

 衆院特別委員会で安全保障関連法案が強行採決で可決された15日、南西諸島防衛の拠点として、米軍の訓練移転計画や自衛隊基地の強化が進む鹿児島県内では、市民が各地で「古里が戦争に巻き込まれる」と反対の声を上げた。一方、中国の台頭など国際情勢の変化に危機感を抱き、法案に賛成する人もいた。

 防衛省が米軍空中給油機の訓練移転を計画している鹿屋市では、「反戦・反核・平和運動をすすめる大隅市民の会」の松下徳二代表(77)が「安倍首相自ら『国民の理解が進んでいない』と言いながら、強行採決するとは」と憤った。地上給油訓練には新型輸送機オスプレイも参加する。「法案で日米同盟が強化されれば、オスプレイの訓練も地上でとどまると思えない。将来は鹿屋が米軍基地になるのでは」と危ぶむ。
 防衛省は西之表市の無人島・馬毛島でも米軍艦載機の陸上空母離着陸訓練の移転を計画する。同市の団体職員西田薫さん(51)は「法案が成立すれば、古里が米国の戦争の前線基地になるのでは」と危惧する。中国による南西諸島侵略の脅威が唱えられるが、種子島に住む西田さんは一度も脅威を感じたことはないという。「逆に法案が武力衝突を誘発する」と指摘した。
 鹿児島県奄美市の西シガ子さん(84)は「国民の大多数が批判し、学者も憲法違反と指摘しているのに、米国との約束を優先するのか」と反発した。敗戦後の8年間の米国統治を体験し、米軍が島に進駐した時の怖さを今も思い出すという。市は昨年8月、陸上自衛隊のミサイル基地計画の受け入れを表明したが、「奄美の自然は世界自然遺産登録を目指す宝物。島は基地でなく観光で自立に向かうべきだ」と言い切った。
 一方で、鹿児島市議の田中良一さん(67)は「軍事力を強化する中国にどう対応するのか。国民の生命と財産を守ることが最も大切だ」と強行採決に理解を示した。1日の市議会でも法案反対の意見書を求める請願に反対した。「今回の論議を機に、今後の国防の在り方を真剣に考える必要がある」と強調した。

(※2015年07月16日 西日本新聞朝刊掲載時のものです)

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