【こんにちは!あかちゃん 第7部】参院選 7千億円の行方<4>「児童手当」助かるが…

子どもが望めば塾や習い事に通わせたいのが親心だが…=福岡市早良区の昴・西新校 拡大

子どもが望めば塾や習い事に通わせたいのが親心だが…=福岡市早良区の昴・西新校

 「決戦の夏」が近づいてきた。秀子さん(41)=仮名=の長女は中学3年生。最後となる中体連の大会に向けて、連日午後7時まで部活の練習に汗を流している。

 一方で「夏が勝負」といわれる受験生でもある。部活が終わると、その足で週3日、学習塾に向かう。学校→塾→自宅と車で送迎している秀子さんは「中学生は忙しいですね。その分、お金もかかります」とため息をつく。

 塾の月謝は2万円。夏季講習を受けると倍になる。別に実力テストの受験料もかかる。部活動にしても、道具代に遠征費。さらに学資保険に月1万円…。

 一人っ子ならまだしも、小学6年生の次女がおり、習字とダンスを習っている。その子の分の学資保険も月1万円かけている。

 先日、次女が「塾に行きたい」と言い出した。財布と相談して「中学生になってからね」と答えた。

 《子育てにかかる経済的負担を社会で分かち合おうという理念から、2010年度に「子ども手当」が導入された。中学修了まで1人につき月額1万3千円。その後、東日本大震災の影響による財源不足などを理由に、11年10月からは一部減額に。昨年4月からは児童手当に名称を戻し、支給額はそのままで所得制限が復活した。ここ数年、ばらまき批判と理念のはざまで政策が揺れ動いてきた》

 秀子さんの2人の娘も児童手当を受けている。子ども手当も支給されていた。「ありがたい」と思う。その分は、子どもの将来に備えて貯蓄に回しているという。「制度がころころ変わるから…」。当てにしないで今の家計を組んでいる。

 長女が中学生になってから、秀子さんはパートに出ることにした。週3回、1日8時間働いて月6万円ほど。そのほとんどは塾や習い事の月謝に消えていく。

 夫の収入に不満があるわけではない。夫は自営で建築業を手掛け、経費や年金保険料を差し引いた上で、両親が同居する6人家族のために月40万円ほどを家計に回している。懸命に働いてくれていることに感謝している。

 とはいえ、景気に左右されやすい建築業界。月10万円の住宅ローンがあと12年残る。自営だけに、会社員のように退職金があるわけでもない。貯蓄型の生命保険と民間の個人年金。月々の掛け金は、娘たちの将来を担保するものでもある。

 《21日投開票の参院選では、安倍晋三政権が進める経済政策「アベノミクス」の評価が最大の焦点となっている。子育てへの直接の投資はもちろん、経済の安定は子どもたちの未来にも関わってくる》

 学校から塾に行くまでの間、長女は車中でおにぎりを食べる。秀子さんが愛情を込めた手作りだ。その長女の夢は小学校の先生になること。「金銭的な理由で諦めさせるようなことにはしたくない」。もう一つの「決戦の夏」を注視している。

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 ●メモ=「手当」の変遷

 民主政権下の2010年度から始まった「子ども手当」。中学修了までの子に一律月額1万3千円を支給した。所得制限はなく、全ての子どもが対象。11年度から1人2万6千円に引き上げる予定だったが、財源不足などを理由に、11年10月から3歳~中学生の支給額を1万円に引き下げた(3歳~小学校修了前の第3子以降と、0~3歳未満は1万5千円に増額)。その後、ねじれ国会下でのばらまき批判にも配慮し、昨年度から所得制限を導入。名称も自公時代の「児童手当」が復活する。支給額は維持し、所得制限は夫婦と子ども2人の家庭で年収960万円など。所得制限以上は1人5千円を支給している。昨年度の支給総額(予算)2兆2857億円のうち、国の負担分は1兆4585億円。

=2013/07/12付 西日本新聞朝刊=

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