【人の縁の物語】<25>旅の輪つなぐ ネット番組 有志が古里PR、ツアーも

トディー(右端)とミナ(左端)がパーソナリティーを務める「旅の輪・九州」。この日は宮崎・延岡のグルメで盛り上がった 拡大

トディー(右端)とミナ(左端)がパーソナリティーを務める「旅の輪・九州」。この日は宮崎・延岡のグルメで盛り上がった

 あなたには、忘れられない街、会いたい人はいますか‐。そんな思いをつなぎ、九州を「旅」で元気にしようと取り組んでいるサークルがある。その名も「旅の輪・九州」。各地からゲストを招き、土地の魅力を伝える番組をインターネットで毎週配信。実際に視聴者が会いに行く新しい旅の形を提案している。

 水曜日の午後7時。福岡市内のマンションの一室がスタジオに変わる。「今日もミナとトディーがお送りします」。この日のテーマは宮崎県延岡市のグルメ。現地から駆けつけた地ビール会社の社長と釣り好きの女性「釣りガール」が加わり、熱いトークが始まった。

 「延岡は焼酎、日本酒、ビールの蔵がそろう珍しい土地なんです」「発祥のチキン南蛮、最近は『南蛮おむすび』も人気だよ」…。ガイドブックには載っていない情報が続々と飛び出す。

 ネット動画配信サービス「Ustream」を利用した生放送。視聴者が参加できるのも魅力だ。「行ってみたいな」「衝撃を受けた」。サイトに書き込みが相次ぎ、出演者はまめに反応しながら番組を進めていく。

 「ではまた来週」。この日は1時間の放送予定を30分延長。面白ければそれもアリ、なのだ。

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 パーソナリティーを務めるのは「旅の輪・九州」の代表で主婦の野中美奈さん(40)と、旅行会社で働く戸田慎一さん(42)。昨年4月に放送を始め、52回を数える。

 旅といえば、観光名所を巡り、名物を食べるのが定番のスタイル。インターネットの普及で、自分で情報を調べ、宿や行き先を決める人が増えた。20年間、旅行業界に身を置く戸田さんは「より手軽になった半面、現地で誰とも交流せず、土地の魅力を知らないまま終わってしまう人が多い」と感じていたという。

 そこで番組制作経験のある野中さんに声を掛けて「旅の輪・九州」を結成。各地で地域づくりに取り組む人に、古里の魅力を語ってもらうことにした。長崎県・五島の限界集落で地域再生を目指す人、福岡県糸島市のカキ養殖業者…。50人以上が出演している。

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 番組作りは全て手弁当。ゲストは出演料なし、交通費も自己負担。それでも地元をPRしたいという熱い志の人たちが集まってくる。最も多い回で約400人に視聴され、メールマガジンの配信者数は1500人を超えた。

 「旅の輪」の仲間に会いに行く旅も盛況だ。春に催した福岡県福津市でのイチゴ狩りには、80人以上が集まった。今月は鹿児島県指宿市、8月は長崎県壱岐市への旅を計画。野中さんは「誰かに会いに行く旅はいつもの旅とまったく違う。その土地をもっと好きになって、また行きたくなるんです」と語る。

 6月には長崎支部が発足した。今後も支部を増やし、10万人に情報発信するのが目標だ。戸田さんは「九州には『ただいま』『お帰り』と言いたくなる、何度でも訪れたい場所がある。人と人が出会う、これまでにない旅の機会を提供していきたい」と話している。

 番組は毎週水曜の午後7時から放送。過去の放送も視聴できる。詳細はホームページ(http://tabinowa.jp)参照。


=2013/07/16付 西日本新聞朝刊=

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