南国宮崎 シンボルの並木 パーム植え替え てげ悩む 「端から順に」か「1本置き」か 市民の議論 熱帯びる

 宮崎市街地から日南海岸国定公園北端の青島まで続く国道の中央分離帯には、約15キロにわたってワシントニアパームの並木が連なる。この「南国宮崎」のシンボルとして定着した並木の植え替えを巡る議論が熱を帯びている。高さ20メートル前後の樹木を、一気に低い若木に替えるのか、1本置きに植え替えるのか。年度内にも始まる植え替えを前に、市民の関心も高まっている。

 南国宮崎のイメージは、宮崎観光の父と慕われた故岩切章太郎氏がフェニックスやワシントニアパームなどの亜熱帯植物の植樹を奨励したことから形成されてきた。宮崎市中心部の橘通りにワシントニアパームが植えられたのが1967年。79年には青島や日南方面へ向かう国道220号宮崎南バイパスに登場し、現在は約840本を数える。

 植えた当初は3~4メートルほどだった樹高は15~20メートルに伸び、枯れ葉の除去作業も年々困難になってきた。道路を管理する宮崎河川国道事務所は昨年10月、植え替えに備えて、識者でつくる宮崎ワシントニアパーム維持管理検討会(北川義男委員長)を設置した。

 一番の問題は、景観を変えることになる植え替えの方法。事務所側は、端から順番に高さ4メートルの若木に替えていくA案と、1本置きに若木に植え替えるB案を用意した。

 判断は難しく、委員の意見も割れた。「一貫性を重視するなら、端から順番に替えた方がいい」「いやいや、現在の高さは残したい。1本置きが望ましい」。3回の検討会を経た後、4月下旬からは市民アンケートが始まった。「県民が愛着を持つ景観。やはり市民の声を聞きたいという委員が多かった」と同事務所の植田定総括保全対策官。

 沿道の住民や観光客への聞き取り調査のほか、市街地にアンケート用紙を配置し、ホームページでも回答できるようにした。植え替え直後や15年後、30年後のイメージ写真を参考に、2案それぞれの印象や意見を聞く内容だ。回答締め切りは10日に迫っており、既に1400件を超える意見が集まっているという。

 市民の意見を分析した上で、9月以降の検討会で正式決定する運び。果たして結果はいかに。北川委員長は「難しい問題だが、岩切さんが思い描いた南国宮崎の美を再認識するまたとない機会。植え替えの結論も大事だが、市民レベルで盛んに議論してほしい」と語る。

    ×      ×

 ●ワードBOX=ワシントニアパーム

 北米西部の乾燥地域を原産とするヤシ科の亜熱帯植物。一般にはワシントンヤシと呼ばれる。高いもので20メートル以上に成長する。走行車両の視野を妨げないため、中央分離帯の植栽に適しており、1964年にJR南宮崎駅から宮崎交通旧本社前に最初に植樹されて以降、県内各地の幹線道路で植樹されるようになった。国道10号や220号、一ツ葉有料道路にも植栽され、宮崎を代表する景観となっている。

この記事は2016年06月9日付で、内容は当時のものです。

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ