鹿児島市主催 ヨガ講座 「反核」私服で契約拒否 「政治色」を問題視 講師「表現の自由侵す」

 鹿児島市が主催する市民向けヨガ講座の講師が、私服で「反核」とプリントされたTシャツやパーカを着ていることを問題視され、2016年度の契約更新を拒否されていたことが12日分かった。「政治色」を理由に公共施設の使用を断るケースも各地で相次ぐ。今回の対応は表現の自由を侵害する「行き過ぎた措置」なのか、「行政の裁量の範囲内」なのか-。

 講師は鹿児島市のフィットネスインストラクター、白澤葉月さん(51)。講座は同市鴨池2丁目の市勤労青少年ホームで週1回開かれ、白澤さんは昨年2~3月の5回、同9~10月の6回、今年2~3月の5回を担当。受講料は無料で、毎回約30人が受講した。

 Tシャツやパーカは、黒地に白文字で「反核」と記されている。白澤さんは反原発や反核兵器のメッセージに共鳴し、昨年初めに通販で購入。行き帰りにたびたび着用したが、講座中はヨガの専用着に着替えていた。

 契約期限が迫った3月、白澤さんはホームの川崎栄夫館長(66)から「特定の政治的主張と受け取られかねず、市の講座としてふさわしくない。着なければ契約を更新する」と告げられた。白澤さんは「『反核』がなぜ政治的主張なのか。表現の自由を侵す対応で納得できない」と申し出を断った。

 川崎館長によると、更新拒否は自身の判断で、「市の事業は高い政治的中立性が求められる」と理由を説明。受講生の苦情や市上層部の指示はなかったという。鹿児島市青少年課は「事実関係を知らず、これから調べたい」としている。

 鹿児島県では昨年7月、薩摩川内市の川内原発近くの砂浜で反原発団体が計画したコンサートについて、県が「地域振興の行事に限り使用を認める海岸法に反する」と海岸利用を許可しない事態が起きた。

 福岡市も昨年6月、市民団体による反戦企画展の名義後援を「特定の主義主張に立脚している」と断っている。

 ●公共の講座 ふさわしくない
 ▼田中孝男・九州大大学院法学研究院准教授(地方自治法)の話 市の事業なので、講師の契約には市側に広い裁量がある。講座の内容と関係のない表記のTシャツやパーカを着ることは、公共施設に主義主張を書いたビラを張る行為と同じと考えることもできる。税金を使って公共施設で開く講座にふさわしくないと市側が判断しても、おかしくない。

 ●自己表現を拒む空気を懸念
 ▼田島泰彦・上智大教授(メディア法)の話 ホーム側が契約更新を拒んだのは不適切だ。メッセージ入りの私服を着るのは自己表現で、それを受け入れないのは憲法の保障する表現の自由に反する。日本は自由な社会であるはずなのに、最近は政治的中立性をことさら気にして、政治性の強い自己表現をけしからんと拒む空気が広がっているようで、懸念している。

この記事は2016年04月12日付で、内容は当時のものです。

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