歌う警官、子ども守る 寄付集めヘルメットを贈る タイ、悪評返上に一役も

 【バンコク浜田耕治】タイで1人の警察官が注目を集めている。バイク事故の巻き添えになる子どもたちにヘルメットを贈ろうと、非番の日にスーパーで歌を披露し、寄付を募っているのだ。市民に煙たがられることも多いタイの警察だが「誠実な人がいた」と称賛の声が上がっている。

 この警察官はウィウラー・ヌットシム警察中佐(39)。タイ中部のサムットサコン県にある署で、強盗や麻薬の捜査に従事している。彼が一躍有名になったのは、非番の日の姿がソーシャルメディアに投稿されたのがきっかけだ。

 スーパーの入り口に陣取り、制服姿でギターを弾きながら、得意のポップスを熱唱する。足元のギターケースには「子どものためのヘルメット購入プロジェクト」とのメッセージを掲げ、通行人に寄付を募る。

 「4年前に恵まれない子の支援金集めをしたのが最初。恥ずかしいけど、自分の歌で他人を助けられることに幸せを感じるようになってね」とウィウラーさん。ヘルメット購入は2人乗りバイクによる児童の死亡事故を減らすため、5カ月前から始め、既に1400個を小学校に贈った。

 実は、タイの警察の評判はあまり芳しくない。賄賂が横行し、金持ちの不正には甘いとの指摘もあるためだ。警察官などの公務員は勤務時間外の副業が認められているため、昼は警察官、それ以外はセールスマンという例も少なくない。

 ウィウラーさんの活動に通行人は次々とお金を寄付するが、女性(24)は「休みの日にお金を稼ぐこともできるのに、それをせずに他人のために汗を流す。こんな警察官がもっと増えてほしいから」と話す。ウィウラーさんも「もっと市民に身近な存在になりたい。子どもたちが今の自分を見て警察官を目指してくれたら、これほどうれしいことはない」と語る。

この記事は2016年04月09日付で、内容は当時のものです。

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