熊本地震と芸能人のツイッター まず行動、コメントはそのあとで 芸能評論家・作家 肥留間正明氏

 芸能人が熊本地震についてツイートすると、ネット上で袋だたきに遭うケースが目立つ。書き込みは難癖、言いがかりに近い。しかも相手は自分に火の粉がかからない無記名。無責任で卑劣極まりない。芸能人側にも「売名」という下心スレスレの隙が見え隠れするが…。

 タレントの矢口真里さんは「大変心配です。大丈夫なのでしょうか?」とブログで励ますが炎上、「偽善と言われてもしかたない…」と落ち込んだ。福岡出身の西内まりやさんも同様に炎上。「私の言葉、行動によって不快な気持ちにさせてしまった」と謝罪に追い込まれた。自撮り写真を一緒に掲載するなど、真意を問われた可能性が大きい。ただ被災者の気持ちにそぐわないとしても、謝罪まで必要なのか…。これはもっとひどい。自宅が全壊する被害を受けた井上晴美さんがブログで報告すると「お前だけではない!」と傷口に塩を擦り込む。「残念です。これで発信やめます!」

 タレントでモデルの紗栄子さんが500万の義援金を送り、振込票を公表した。するとネット上で“不謹慎”の連呼が。だが韓国のぺ・ヨンジュンさんは、東日本大震災で5千万円を寄付して堂々と公表して称賛された。米国人の寄付好きはよく知られ、年間1人当たり1600ドルと、日本人の50倍も寄付している。紗栄子さんの寄付の考え方は、日本では理解されにくい面もある。

 参考にしてほしいのは、熊本県益城町にテント村を造った登山家の野口健さんの行動だ。「気の毒!」なんて言葉を発する前に、まず現地に足を運ぶ。そしてエコノミークラス症候群で悩む被災者を見て、テントの必要性を呼び掛けた。結果100張以上のテントの花が咲く。

 タレントたちはコメントする前に、現地に足を運び、現場で必要なものを見極めることを考えてもいいのではないか。その上で有名人として影響力を利して援助を呼びかける。それを実践したのはSMAPの中居正広さん。休日に熊本市内の避難所を訪れて、炊き出しを行った。誰もイチャモンをつけない。

 東日本大震災でタレントたちが学んだのは「行動」ではなかったか。杉良太郎さんは「売名と言われてもいい」とトラックに支援の荷物を積み込んで被災者を励ました。石原プロモーションの炊き出し、レディー・ガガさんなど多くの外国人タレントたちは、来日してチャリティーを行った。

 そしてタレントへの一連の書き込みを行った人たちへ。意見や批判は歓迎したい。しかし書き込む側は、自らの言葉に責任を持つことが必要ではないか。誹謗(ひぼう)・中傷の書き込みはあってはならない。

 ▼ひるま・まさあき 1949年生まれ、さいたま市出身。雑誌「女性自身」などで芸能を担当。「やじうまワイド」(テレビ朝日)などに出演している。著書は「勝新 役者バカ一代」「龍馬と海」ほか。

この記事は2016年05月13日付で、内容は当時のものです。

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