グリコ 有明海にヒント 創業者・江崎利一 カキ栄養素から考案 佐賀県

 ●「ゴールインマーク」のモデル 八坂神社走る子ども

 リオデジャネイロ五輪に続き、パラリンピックも閉幕した。陸上競技でゴールする選手の姿に、大阪・道頓堀の看板で有名な江崎グリコ(大阪市)の「ゴールインマーク」を思い浮かべた人もいたのではないだろうか。実はマークのモデルは佐賀の神社にあった。キャラメルのグリコも創業者江崎利一(りいち)(1882~1980)が有明海でヒントを得て開発したという。県内の「グリコゆかりの地」を巡った。

 「キャラメルのグリコはカキの栄養素グリコーゲンから名付けられました」。江崎グリコグループ広報部の市田拓也さん(32)は、グリコの由来をこう解き明かす。

 利一は今の佐賀市蓮池町蓮池に生まれた。地元の芙蓉小高等科を卒業後、地元で家業の薬種業「江崎商会」を営んでいた1919年、有明海で漁師がカキの煮汁を捨てる様子を目にしたのがきっかけだったという。

 「カキには栄養価の高い成分が含まれていたはず」。利一は煮汁を分けてもらって分析し、動物でんぷんとも称される「グリコーゲン」が豊富に含まれていることを確認した。

 まだ生活も食事も豊かでなかった時代。子どもたちが喜んで食べ、国民の健康に貢献できると考えて開発したのがグリコーゲン入りのキャラメルだった。

 利一は商品名をグリコと定め、社名にも採用。今でも特に中高年に忘れがたいあの味は「世の中のために」と利一が考案した紛れもない県産品だった。

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 市田さんによると、ゴールインマークも県内の日常風景から生まれたという。

 利一の生家に近い八坂神社。境内でグリコの商標をどうしようかと思案していた利一の目に、駆けっこをする子どもが両手を挙げてゴールする姿が飛び込んできた。

 「まさに健康の象徴。これだ」。利一は原案を作成し、描きためていた他の候補の絵と一緒に母校の芙蓉小に持ち込んで、児童の人気投票で「ゴールインマーク」に決めた。

 市田さんの話を聞き、生家と八坂神社を訪ねてみた。地域公民館に活用されていた生家は昨年に建て直され、真新しい公民館に生まれ変わっていた。

 八坂神社はひっそりとし、近くの千住利夫さん(72)は「昔は歓声が響いていたが、今はほとんど、子どもを見ない。時々、グリコの社員やグリコのファンが訪れています」と教えてくれた。

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 利一は1921年に拠点を佐賀から大阪に移したが、古里を大事にした。

 53年、佐賀市に江崎グリコ九州工場を設立(現九州グリコ)。毎年秋のバルーンフェスタの前夜祭やキッズデーには子どもたちにお菓子を配っている。

 地元では、利一の足跡や業績を次代に知らせる取り組みが始まっている。

 利一の母校を前身とする市立小中一貫校芙蓉校(佐賀市蓮池町小松)は昨年から中学部の修学旅行で、利一ゆかりの品を展示する「江崎記念館」(大阪市)を訪問。郷土の偉人の足跡を「生徒たちはより身近に感じているようだ」と牟田禎一校長は話す。

 冬場のカキのシーズンはこれから。味わいながら、ゆかりのグリコに思いをはせてみるのも良さそうだ。

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この記事は2016年09月22日付で、内容は当時のものです。

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