いまどきの学校<28>UAEから 外国人を受け入れる土壌

 「仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ…」

 飯塚市立庄内中の2年生の教室は国語の時間。アラブ首長国連邦(UAE)出身のアブドゥラ・アル・ホーサニーさん(13)も、周りの生徒と声を合わせて徒然草の一節を朗読した。

 ホーサニーさんはUAEの首都アブダビにある日本人学校中学部の2年生。8月末から9月21日まで飯塚市内の中学校に体験入学をした。前半は県立嘉穂高付属中で学び、その後庄内中に移った。

 日本人学校の授業は日本の学習指導要領に基づくため、日本語の日常会話に困ることはない。ただ、「古文は苦手かも」とはにかんだ。

 高校からは日本での進学を希望するが、アブダビ日本人学校には同級生が3人。日本式の集団生活に慣れることが今回の体験入学の目的で、放課後にはサッカー部の練習にも参加した。「ランニングが遅いともう1周グランドを走らされることもあるが、試合形式の練習などができて楽しい」と笑顔で振り返った。

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 「好きな日本食はカレー。この家で作ってもらった焼きそばもおいしかった」

 ホーサニーさんと一緒に来日したアブドゥラ・アル・マンスーリさん(13)は、約3週間ホームステイした飯塚市伊岐須の金海康弘さん(44)宅でほほえんだ。マンスーリさんは、金海さんの家から嘉穂高付属中と二瀬中に通った。

 金海家が外国人を受け入れるのは5人目で、初めてのイスラム教徒。宗教上の理由から口にできない食材も多く、福岡市にある専門店でソースなど調味料を購入した。妻の裕紀さん(45)は「ホームステイ先になじめるかどうかは食事が大切な要素。店ではアラブの人の好きな味付けなども聞いた」と打ち明ける。

 学校との連携も欠かせず、給食の献立を事前に確認した上で、豚肉などを使った料理の際は弁当を持たせた。「大変と思われるかもしれないが、日本文化を伝えることでこちらも新たな発見や異文化理解につながる」と金海さん家族は前向きだ。

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 アブダビ日本人学校は児童・生徒数が42人で、10年前に受け入れを始めた現地の子どもはこのうち16人を占める。飯塚市との交流は、同市で伊岐須小校長などを歴任し、本年度アブダビに着任した梶山明彦校長が橋渡しを務めた。

 「ホーサニーさんら2人が現地の1期生。日本の高校を希望したことで体験入学先を探していたが、日本国中でも学校やホストファミリーが積極的な地域は少なかった。飯塚の様子を話したところ即決定した」と打ち明ける。

 飯塚市では九州工業大などの留学生を支援する取り組みや、アジア太平洋こども会議で来日する子どもたちとの交流などが20年以上続く。外国人を受け入れる土壌が培われ、金海家のような家庭が多いのも「飯塚市の強み」(梶山校長)という。

 「アラブと日本の懸け橋として外交官になりたい」とホーサニーさん。マンスーリさんは「日本の技術が好き。将来は自動車整備士になりたい」と語り、2人は再訪を約束した。飯塚を拠点にした国際交流の絆はさらに広がりそうだ。

この記事は2016年09月27日付で、内容は当時のものです。

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