いまどきの学校<27>本に親しむ 図書を通じた成長支える

 福岡県飯塚市立片島小では毎週木曜朝、各教室から母親たちの優しい声が聞こえてくる。PTAメンバーを中心にした「わかくさおはなしの会」(樋口恭子代表、16人)による読み聞かせの時間だ。

 学年によって絵本だったり物語だったり。話の筋を追うだけでなく、「これは何?」「次はどうなる?」など問いかけを欠かさない。10分間だけだが、教室全体が話の世界に包み込まれていく。

 会の結成は2011年9月。本の選定は各メンバーの担当で、学校図書室だけでなく市立図書館などにも出掛けて選ぶ。発起人の辻塚明子さん(47)は「きちんと準備をすれば教室での反応もちがう。母親として子どもたちの成長に関わっていけることにやりがいを感じている」と語る。

 同小で15年度まで司書を務めた古賀恵子さんも本年度から活動に加わった。「今の6年生が1年生の時に読み聞かせが始まった。それだけに、どの学年も本への関心はとても高い」と指摘する。

 今年5月には、希望する児童に読み聞かせの方法などを教える「よみきかせマナビ塾」も始めた。1~6年の9人が受講し、このうち5人は朝の活動にも参加した。「取り組みは徐々に広がっており、さらに読書好きの子どもたちを増やしたい」と樋口代表(43)は力を込めた。

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 9日、飯塚市立立岩小の図書室には3年4組の児童による長い列ができていた。市内の各小学校が週1回設けている「図書の時間」だが、子どもたちが手にするのは夏休み期間中に借りていた本。同小では夏休みにも週2回、図書室を開放していた。

 「利用は毎回10人程度。子どもたちは調べ物学習をしたり、付き添いの家族と本を読んだり。通常時と違い、夏休みらしい雰囲気で楽しんでいた」と司書の藤内智衣さんは振り返る。

 図書の時間が終わり、中休みが始まると、再び多くの児童で室内は満員に。利用者は15分で64人。雨天時には100人を超える。こうした利用を促す仕組みが「読書カード」と呼ばれる冊子だ。借りた本や日付のほか、感想を3段階評価で記入する。一つの冊子で本120冊分になる。すでに7~8冊目という児童もいて、卒業時、6年間を通じた本との出合いの記録として返却されるという。

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 学校図書室の役割や読書の効果について飯塚市教育委員会は、「国語の読解能力はすべての学力の基礎になる。本を読む力を養うことは非常に重要」と説明。同市は全小中学校に学校司書を配置している。立岩小の山本伸英教頭は「司書がいることで児童・生徒の利用も増えるし、本への親しみも増す」と語る。

 ただ、文部科学省の基準に達した蔵書数の学校は14年度調査で同市内32小中学校中6校にとどまる。筑豊地区全体を見渡しても基準の25%未満の学校があるなど、課題は多くの地域に共通する。

 わかくさおはなしの会は2年前、民間財団からの助成金で絵本など約320冊を購入し、片島小に寄贈した。飯塚信用金庫(飯塚市)も1992年から、店舗のある自治体の小学校などへの図書贈呈を続ける。片島、立岩両小の関係者は「予算面では限りがあるだけに、こうした地域の理解と協力は欠かせない」と口をそろえる。

この記事は2016年09月13日付で、内容は当時のものです。

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