【揺らぐ裁き】(2)上 「ママ、パパ、僕は無実だ」

長女アンバーちゃんを肩車するトッド元死刑囚 拡大

長女アンバーちゃんを肩車するトッド元死刑囚

 12年ぶりに直に触れた息子の体はまだ温かかった。2004年2月17日夕、米テキサス州ハンツビルの死刑執行施設。母親のユージェニア・ウィリンガムさん(70)は遺体となったキャメロン・トッド・ウィリンガム死刑囚=当時(36)=を抱き締めた。

 「準備はできている。これで自由になれる。しかし、ママ、パパ、僕は無実だ。いつか、汚名をそそいでほしい」。息子トッドの最後の言葉を胸にユージェニアさんは今、司法の厚い壁に挑む。

 全米で最も「無実の人間を死刑にした可能性が高い」とされる事件。わが娘3人の放火殺人罪で死刑判決を受け、一貫して無実を訴え、執行された父親の話を2回に分け報告する。

   ◇    ◇

 1991年12月23日朝、同州コルシカナの小さな家が火事となった。トッド氏は2歳の長女アンバーちゃんの「ダディ!ダディ!」という叫び声で目が覚めた。煙がすぐに家中に充満した。

 妻はクリスマスプレゼントの慈善配布をもらいに出掛けている。家にいるのはアンバーちゃんと1歳の双子カーモンちゃんとキャメロンちゃん。トッド氏は煙を避けるため腹ばいになり、手探りで3人がいる子ども部屋に向かったが、火の勢いは激しく、髪の毛も燃え、いったん外へ出た。

 「子どもたちが中にいる」。そう叫び近所の人に消防車を頼むと、外から子ども部屋のガラス窓を棒で破り再び家に入ろうとした。ガラス窓からも火が噴き出す。数分後に到着した警察官がトッド氏を羽交い締めにして制止した…。

 以上が、トッド氏の主張と火災直後の住民、警察官たちの証言だ。

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