いまどきの学校<25>少年の主張 多感な日常、言葉で紡ぐ

 福岡県飯塚市で7月31日に開かれた「少年の主張大会」。市内の全中学校から計23人が集い、多感な日常を言葉でつづった。会場には地域住民など約300人が訪れ、夢に向き合う懸命な姿やユニークな体験をほほえましく見守った。「いまどきの主張」に耳を傾けてみると-。

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 27日に久留米市である県大会への出場権を得たのは3人。谷口英里紗さん(飯塚第一中3年)は国際交流ボランティアについて、在住外国人に日本語の発音などを教えた経験から、ボランティアは「できる人が、できるときに、できることをする、でいい」と指摘。自分の得意分野で、誰かの苦手を手助けしていけばジグソーパズルのように絵ができると例え「世界は一つの大きな絵。みんなの優しさで色とりどりの楽しい世界をつくりたい」と訴えた。

 岩崎天音さん(嘉穂高付属中1年)は「私は勝つ、吃音(きつおん)に」と題して、コミュニケーション障害の一つである吃音に向き合う日々を紹介した。小学時代から児童委員や応援団に積極的に参加するなど「勝つ」ための挑戦を続け、付属中受験も思い立ったのだと語り「絶対医者になって吃音・アスペルガー症候群などの人たちに希望を持ってもらいたい」と宣言した。

 舞台上では言葉に詰まり、一度奥に下がる場面もあったが、発音しにくい言葉を別の言葉に置き換え、文脈が変わらないように一部のエピソードを省略した。意志の強さと冷静な判断力が伝わる発表に会場から拍手が送られた。

 木和田拓海さん(頴田中3年)は、全国的な論争になった学校現場での「組み体操」について意見を述べた。体育会で組み体操委員長を務め、全生徒の気持ちを一つにすることでけが人を出さずに全ての演技を完成させたと紹介。「中止理由に中学生の体力が落ちたという話を聞くが本当だろうか。僕たち中学生の力が無限大だということを知ってほしい」と力を込めた。

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 3人以外もはつらつとした発表が相次いだ。日焼けした丸刈り姿が印象的だったのは藤井祐太さん(筑穂中2年)。硬式野球チームに所属しており「体調管理が大切。今は(就寝時間が)10時半や11時になっているので10時には寝るようにしたい」「目標は甲子園出場とプロ野球選手」と強調した。

 5人姉妹の長女の原田真友子さん(飯塚日新館中3年)は、末っ子の出産に立ち会った経験を発表した。母親が自分の手を力強く握ってきたことに「驚くと同時に頼りにしてくれたことがすごくうれしかった」。「母の娘に生まれて幸せ。妹が成長し反抗期になったときにはこの話を聞かせたい」と語った。

 飯塚市からは前回まで2年連続で全国大会に県代表を送り出しており、2014年度には最優秀の内閣総理大臣賞も受賞した。今回講評を務めた庄内中の有門秀憲校長によると、生徒の作文について「教師は推敲(すいこう)を手助けする程度」という。むしろ各生徒の体験に目を向けて「大会への参加を提案するのが重要な役割」という。

 飯塚勢の活躍の背景には、生徒の学校生活や悩みに寄り添い、成長を手助けしようと励む教師の存在がある。

この記事は2016年08月02日付で、内容は当時のものです。

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