いまどきの学校<24>ものづくり 専門校で磨く高い技術

 小竹町新多にある県立小竹高等技術専門校の建築科の実習室。ノコギリやカンナを手にした男性4人が角材に墨で線を引き、表面を削る作業に取り組んでいた。日本家屋の屋根の一部を組み立てる訓練で、高校生のような若者から年配者まで世代はばらばらだが、全員が何時間も続く作業を黙々と続けていた。

 将来大工を目指すという川崎道成さん(18)=川崎町池尻=は、「入学するまで全くの初心者だった。訓練は厳しいが、技術が身に付いている実感がある」と話す。1年間のコースを修了すれば建築大工の分野で「中級技能者が通常有すべき技能の程度」とされる2級技能検定の受検資格を得ることができる。

 隣は自動車工場のような雰囲気の塗装科実習室で、女性2人を含めた20人が一人ずつ、表札大の金属板にスプレーで肌色の塗料を吹き付ける練習を重ねていた。一気に塗り上げるだけの作業に見えるが、傍らの指導員からは「厚さがバラバラ」「量が多すぎ」などの指摘が入る。作業を見守る他の訓練生も自分への助言を聞くかのように真剣だ。

 別棟の「プログラム設計科」の部屋では、コンピューターに向き合う若者たち10人がブロック崩しゲームを作成中。2年間の訓練終了時には3Dキャラクターを自由に動かすような技術まで身に付くため、講師は「システムエンジニアなどとしてIT業界の先端で十分働いていける」と胸を張った。

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 小竹高等技術専門校は、直方と飯塚にあった両県立高等技術専門校を統合して1993年に誕生した。職種別に7科目あり、10代から60代までの121人が学ぶ。このうち女性は30人。授業料は無料だが、職業訓練施設のため長期休暇などはほとんどなく、訓練時間は1年コースで1400時間に及ぶ。中学3年の授業時間(約千時間)と比べると4割多い。

 建築科の奥居一八技術主査(46)は訓練時間について「それぞれ社会で生きていくための技術を身に付けてもらう必要がある。休みは少なくなるが、基本の部分まで減らすことはできない」と語る。

 2015年度の修了生の就職率は約93%と高く、希望する職種への就職率を見ても約84%に上る。一方で、全定員に対する生徒数は約6割にとどまる。特に科目ごとの差が顕著だ。プログラム設計科や介護福祉士受験に必要な研修資格などを得られる介護サービス科がほぼ定員なのに、機械科やものづくり鉄工科などは低迷が続く。最も深刻な建築科は定員30人に対して生徒は4人にとどまる。

 峯崎俊之校長は「これまでは好不況の波にあまり影響を受けず入学率も8割を越えていた。特に日本のものづくりを支えてきた職種で希望者が少なくなっており、技術者の待遇改善など抜本的な対策がなければ厳しいかもしれない」と打ち明ける。

 建築科からは川崎さんが8月に沖縄県である「第11回若年者ものづくり競技大会」に県代表として出場することが決まった。小竹校からの挑戦は初めてだ。峯崎校長は「若者が活躍する姿こそ、その職種にとっては希望の光。出るからにはベストを尽くしてほしい」と期待を寄せた。

この記事は2016年07月26日付で、内容は当時のものです。

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