「口コミ」日中友好育め 日本感想文コンテスト 中国で参加増 ネット人口7億人、訪日ブームも追い風

 【北京・相本康一】日本に関する感想文を中国のインターネット上で募集する日本大使館など主催のコンテストが参加者数を伸ばしている。第3回は約2千件の応募があり、閲覧数は延べ4200万件を超えた。原動力はソーシャルメディアを活用した「口コミ」。訪日観光ブームを追い風に、日本ファンを着実に増やす試みが続いている。

 《物語を知って以来、東京タワーを見ることは長年の夢だった》

 第3回の1等賞に選ばれた孫暁楠さん(34)の感想文の書き出しだ。「物語」とは、母親との半生を描いたリリー・フランキーさんのベストセラー小説「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~」。孫さんは今年4月、妻と一緒に物語に登場する東京各地を訪ね歩き、写真も添えた。

 7月末に大使館で行われた授賞式で、日本の印象について「きれいで秩序があり、安全だと思った」と語った孫さん。東京のラーメン店に撮影用の機材を置き忘れ、取りに戻ると同じ場所に残っていたという。

 応募作には日本の歴史や自然などテーマ性を帯びた内容も目立つ。ある応募者は《JR日本最南端の駅》として西大山駅(鹿児島県)を紹介。4月の熊本地震発生10日前に現地を訪れ、阿蘇神社でおみくじをひいたという応募者はエールの気持ちを込めた。《熊本の美しさをこの目で味わった。(略)倒れない熊本城、あきらめない熊本人。これこそ、最も美しい光景かもしれない》

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 訪日中国人客は昨年約500万人に達し、今年は700万人まで伸びる見通し。短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」上で募集するコンテストも初開催した昨年春の応募約千件、閲覧数延べ1200万件から大幅に増えた。

 中国のネット人口は今年6月時点で7億人を突破。6億人以上がスマートフォンでネットを利用しているという。特に情報収集・発信の手段として定着しているのが、微博やスマートフォンの通信アプリ「微信(ウェイシン)(英語名WeChat)」だ。「中国では新聞やテレビが信用されていない一方、ソーシャルメディアの影響力は日本以上。口コミの力は大きい」と北京の広告関係者は指摘する。

 コンテストの授賞式には、微博、微信上で日本に関する情報を発信しているブロガーやメディア関係者も招待した。集まった人たちのフォロワー(読者)の総数は計約1200万人。彼ら彼女らを勝手連的な日本応援団と位置付け、ネット上で日本に関する情報を共有し、ファンを拡大する作戦だ。コンテストは今秋にも4回目を予定している。

 日中両国は政治的な対立を抱え、双方の国民感情は依然厳しい。ただ、中国は人口13億人を超える大国。すべての人が反日というわけではない。最近の訪日ブームは確実に日本の理解者を増やしている。

 日本大使館の山本恭司公使は「こんなに多くの中国人が日本に関心を持っている。その事実を日本人にも知ってもらい、対中イメージの改善にもつながってほしい」と話している。

この記事は2016年08月14日付で、内容は当時のものです。

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