いまどきの学校<21>土曜未来塾 勉強の習慣づけ、週末に

 「皆さん、隣の人と比べる必要はありません。今の自分より一歩でも成長していくことを目標にしてください」

 福岡県嘉麻市で5月に始まった本年度の土曜未来塾。市内7会場のうち大隈町の夢サイトかほでは冒頭、市立牛隈小の前校長で市学力向上推進員の田中由子さん(61)が5、6年生16人に語りかけた。

 児童が机に向かうのは土曜の午前中2時間。まず週末に出された学校の宿題を済ませ、続いて習熟度別のプリントを解く。周囲には田中さんの他、サポーターとして現役大学生など5人が見回り、質問があればいつでも応じる。

 他会場にも教師経験者と大学生が詰めて小学生を見守る。本年度はほぼ毎週土曜に計40回開き、基礎学力の定着と家庭学習の習慣化を目指す。田中さんは「土曜に宿題が終われば日曜は好きなことができ、週明けは胸を張って登校できる。月曜に学校に行けるかどうかは学力低下や不登校にもつながる重要な視点」と語る。

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 同じ日の午後、中学生向けの未来塾が始まった。こちらは市内5会場。最多の23人が参加する碓井地区では全生徒が本年度の抱負を発表した。

 「高校とか行かんでよかと思っとったけど、ここで勉強して高校に行きたいです」。2015年度から受講する3年の女子生徒の言葉に、学力向上推進員で元碓井中校長の金子次広さん(64)は手応えを感じた。

 未来塾は、小中学生の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で、嘉麻市の成績が全国平均を大きく下回る中、市が15年度から取り組む学力向上強化プロジェクトの主要事業。昨年8月に小5と中2を対象に山田中校区で先行して開講し、残る4中校区は今年1月から始めた。

 「勉強が分からないというより、必要だと感じられない環境の生徒もいる。大学生から勉強を教わるだけでなく、休み時間のおしゃべりを通して、自分の将来を考えるようになった生徒もいる」と金子さんは語る。

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 未来塾は参加費無料。一方で市は小中の元校長5人を学力向上推進員として通年雇用しており、サポーターにも時給千円を払う。15年度の関連予算は1738万円で、対象を小5~中3に拡大した16年度は計3114万円を見込む。自主財源の乏しい小規模自治体には大きな負担だ。

 それでも実施に踏み切ったのは「少子化が進む中、自分で考え、学び、社会で自立できる子どもを育てないと市の未来はない」(市教委)という危機感からだ。本年度から、県内で初めて13小中学校別に全国学力テストの結果を公表することも決めた。将来的には各小中学校で全国平均以上を目指す。

 市によると、市内の小5~中3約1600人のうち、本年度の未来塾登録者は140人(小85、中55)。15年度の小中97人からは増えたが、想定していた210人よりは少ない。今後もこども育成課や保護課などと連携を深めて周知を続ける。

 「これまでの学力強化は学校や教師に負担を強いることが多かった。行政がこれだけ力を入れるのは心強い」。未来塾で学ぶ子どもたちを見ながら、金子さんが目を細めた。

この記事は2016年06月07日付で、内容は当時のものです。

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