「北九州のパトカー屋」って? 本物を忠実再現、映画支える 福岡県

 「北九州のパトカー屋」をご存じだろうか。あなたへ、MOZU、寄生獣、図書館戦争-など、名だたる映画の中に登場したパトカーなどの「劇用車」を整備・貸し出しする自動車板金塗装会社「ペイントメイクトシ」(水巻町二東)のことだ。これまで映画・ドラマへの“出演”は50本近くにのぼり、北九州へのロケ地誘致から撮影のエキストラまで陰ながら一役買っている。

 同社は1989年、八幡西区出身の大島俊充社長(48)が21歳で立ち上げた。2003年、門司区などでロケがあった「バトル・ロワイヤル2」(同年公開)で四輪駆動車が必要になり、北九州フィルム・コミッション(KFC)の担当者から相談があった。その縁で映画の劇用車を扱うようになったという。

 同社が「パトカー屋」を名乗るきっかけになった映画は「ワイルド7」(11年)。4台のパトカーを用意する際、現物を確認して忠実に再現。出来の良さが業界内に伝わり、別の映画制作会社からも依頼が相次ぐようになった。今も撮影用パトカーを3台所有する。「違和感なく映画に入り込めるよう、仕事の技術を生かして本物そっくりに仕立てる」と大島さん。毎年4、5件ほどの依頼があり、九州各県だけでなく岡山県や広島県でのロケにも派遣している。

 もともと劇用車は、映画会社が関東や関西からロケ地まで輸送するため、負担になっていたという。KFC事務局次長の上田秀栄さん(44)は「車を現地調達できるのは北九州の大きな強みだ。撮影のしやすさとともに、地元住民が協力している点をアピールできる」と語る。

 実は大島さんは映画や芸能人に疎く、劇用車の貸し出しは「もうけにはならない」という。それでも依頼を受け続けるのは「『映画の街・北九州』を自分にできる方法で盛り上げたい」という思いからだ。

 大島さんや社員たちは撮影現場に車を届け、そのまま運転手役のエキストラとして作品に出演。時には警察官の格好で臨むこともある。「映画のエンドロールで会社名が流れると、力になれた実感が湧く」

 映画の街に欠かせない「パトカー屋」の活躍は、当面は続きそうだ。

この記事は2016年05月20日付で、内容は当時のものです。

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