86歳→18歳 館長のバトン やながわ有明海水族館 近藤さん・知識、熱意…「彼なら」 小宮さん・「再生思い引き継ぐ」

 かつての有明海の漁師町で、今は観光客でにぎわう福岡県柳川市沖端地区で15日、小さな水族館が再開し、18歳の館長が誕生する。開設者の近藤潤三さん(86)=同市=が魚への思いを共有できると考え、環境問題を考える若者団体「有明海塾」のリーダー小宮春平さん(18)=同県久留米市=に引き継ぐ。有明海を愛するベテランから若者へ。「宝の海」再生のバトンが引き継がれる。

   ◇    ◇

 水族館は、地元の魚市場で67歳まで働いた近藤さんが2010年に冷凍倉庫を買い取り「おきのはた水族館」として開館した。「当時、有明海であれほど採れていたアゲマキやウミタケが消え、アサリも育たなくなっていた。この問題を多くの人に知ってほしいと思った」。有明海のムツゴロウやクツゾコ(シタビラメ)などを生きたまま水槽で展示し「ウミタケねじり」「アゲマキ釣り」などの珍しい漁具も紹介していた。

 ところが、今年6月、近藤さんは急病で3カ月入院し、水族館は閉鎖。地元のNPO法人に継承を相談したところ、有明海塾の小宮さんを推薦されたという。

 小宮さんは幼い頃から魚好きで、珍しい魚を求めて国内外で釣りに没頭。久留米高(久留米市)在学中は九州大の干潟調査に参加し、有明海湾奥部に注ぐ河川にのみ生息する淡水魚ヤマノカミの調査もした。近藤さんは「九州の『さかなクン』と呼べるほど魚に詳しい。私の代で有明海の再生はならず無念だが、彼なら後を託せる」と太鼓判を押す。

 水族館は「やながわ有明海水族館」と名称を変え、小宮さんを中心に有明塾のメンバーで運営する。これまでより水槽を約20個増やして約30個にし、有明海に注ぐ筑後川や矢部川、柳川の掘割で採取した淡水魚も新たに展示。子どもがカニなどに触れるふれあいゾーンも設ける。

 小宮さんは「近藤さんの思いを引き継いで、小さな子に生き物の素晴らしさを伝えたい。川下りの観光客も呼び込み、多くの人に有明海の危機をアピールする」と意気込む。

 入館料は大人200円、高校生以下無料。水族館事務局=0944(72)2424。

この記事は2016年10月14日付で、内容は当時のものです。

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ