警固神社キツネ像破壊 都心の死角 犯行隠す 境内真っ暗 周囲騒がしく 全国で寺社被害相次ぐ

 福岡市中央区天神の警固神社境内にあったキツネの石像4体が壊された事件から、間もなく1カ月。福岡中央署が器物損壊容疑で調べているが、有力な目撃情報はない。犯行があったとみられるのは金曜日の深夜。現場を訪ねると、都会の真ん中に、人目に付かない“死角”ができることが分かった。

 事件は4月24日午後10時~25日午前0時半ごろ起きたとみられる。3週間後の5月15日午後11時も警固神社のそばを通る国道202号(通称国体道路)の歩道は、休日を前に深夜まで飲み歩く人でいっぱいだった。境内東側には西鉄福岡(天神)駅、24時間営業のコンビニもある。バス停にも多くの人がいた。

 4体の石像は境内の「今益稲荷神社」前にあった。バス停からは10メートルほどしか離れていないが、神社と歩道の境に高さ1メートルの石柱が30センチ間隔で並び、視界を遮る。街灯や車のライトが光る道路側から、真っ暗な境内はほとんど見えない。

 午前0時の西鉄電車終電後は、周辺の人通りがめっきり減る。3月には、国体道路沿いにあった公衆トイレが閉鎖された。近くの屋台の酔客がよく利用していたため、深夜の人の流れが変わり、一気に歩行者が減る時間帯がある。一方で、国体道路を走る車の音は途切れず、事件の第1発見者となった防犯ボランティアの男性は「石像が倒れた際に音がしたとしても、車の音にかき消されたのではないか」。暗い境内で何か起きたとしても周囲に分かりにくい状況だ。

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 福岡中央署は、神社周辺施設から防犯カメラ映像の提供を受け、解析を進めている。署幹部は「都心の割に目撃情報が少ない」と打ち明ける。

 4体のうち、1体は土台ごと倒されていた。石材会社によると、土台を含めた重さは130キロ。大人2人分の重量をひっくり返すには、複数犯も考えられるが、石材会社の担当者は「キツネ像と土台がしっかりくっついていて重心が高ければ、上部のキツネ像を押しただけでも土台ごと倒れるのではないか」と話す。署も「成人男性なら、単独でも可能」とみる。

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 警固神社によると、4体のうち1体を修復、残りは作り直す。事件後、約50件の寄付があり、激励のメールや電話も寄せられているという。市民からは「罰当たりな恐ろしい行為だ」との声が相次ぐ。

 今回の警固神社での事件について、奈良女子大の岡本英生教授(犯罪心理学)は「みんなが大事にしているものを壊すことで、やってやったという快感を得ているのでは」と犯人の心理を推測する。全国の寺社などで油のような液体がまかれる事件が相次ぎ、5月には千葉県の寺で聖徳太子像が破壊されるという警固神社と似た事件もあった。

 東亜大の具志堅伸隆准教授(社会心理学)は「寺社をお参りする人が増えているが、そういうものを攻撃対象と見る人もまれにいる。模倣犯を生まないために、捜査を尽くすべきだ」と指摘している。

この記事は2015年05月20日付で、内容は当時のものです。

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