福岡の街 サル気なし? 目撃1週間、神出鬼没 警官バタバタ追跡

 5月に入り、サルが福岡市内を縦横無尽に走り回っている。14日早朝には、中央区舞鶴の福岡地方検察庁の敷地で目撃され、その後、早良区室見まで移動したのが確認された。最初の目撃情報は6日、城南区の住宅地。以来、博多区築港本町のベイサイドプレイス博多付近、中央区天神の親富孝通りと、人通りの多い繁華街にも姿を現した。体格などから同じサルが市内を逃げ回っている可能性もあり、引っかかれた人もいる。今後、どこへ逃げサルのか-。姿を追った。

 14日午前、サルの移動距離は6キロを超えた。新たな情報が入るたび、捕獲用の網を持った警察官が現場へ走り、テレビカメラや記者たちも後を追う。しかし、なかなか追い付けない。

 同日午前5時半ごろ、中央区舞鶴の福岡地検の敷地内で目撃されたサルは、西へ向かい同区六本松の県護国神社でも見つかった。散歩をしていた宅島ミツヨさん(75)は「こんなところにも来たの? 引っかかれたら怖い」と、目を丸くした。午前9時すぎには、早良区で目撃情報が入り始め、同区室見の神社までたどり着いたという。

 福岡市教育委員会も対応に追われた。目撃情報が入ると、近隣の小中学校に注意喚起の連絡を入れた。担当者は「動きが速い」と舌を巻く。中央区赤坂の赤坂小は、保護者などに一斉メールを送ったほか、教諭たちが通学路に立って、児童の安全確保に努めた。高島宗一郎市長も同日午前の記者会見で「市街地が山に迫ってきて、すみかを奪われたのか…」と困惑の表情。

 最初にサルが目撃されたのは6日、城南区田島の住宅地だった。近くに住む栗原弘幸さん(70)は「ここで見たサルが天神まで行ったのか」と驚いた。サルは7日には、城南区東油山の住宅地に現れ、小学2年男児の腕を引っかいた。9日には早良区、10~11日・城南区、12日・南区、13日・博多区とまさに神出鬼没だ。

 博多区で精肉店を経営する片岡良二さん(57)は、配達の帰りにサルを見た。署員や住民に追われ、樹木が茂った住宅の敷地に逃げ込み、夏ミカンを食べていたという。「『おまえ、どこさ行くとや』と話し掛けたが、無視された。余裕しゃくしゃくだった」と片岡さん。

 14日午前11時半現在、報道陣は早良区室見付近で姿を追うが、サルは見つからない。室見川から上流の南側を仰ぎ見ると、脊振の山並みが見える。どうにか、すみ慣れた古里に戻ることができればいいのだが…。

 ●同一個体、餌求め迷子か 専門家「春になり山から人里へ」

 福岡市内の各所で目撃されているサルは、いずれも同じ個体なのか。14日に中央区から早良区にかけて移動したサルについて、福岡県警中央署は「1匹で行動している点や移動経路から、13日に天神などで目撃されたサルと同じではないか」とみている。過去に目撃されたサルも単独で行動しており「大型のサル」など共通点も多い。

 なぜ、繁華街まで来てしまったのか。同市動物園のニホンザル飼育員、江崎幸子さん(35)は「餌を求め山から人里へと下りてきたが、人間の姿に驚いて逃げ回っているうちに、山への帰り道が分からなくなってしまった迷子ザルだろう」と推察する。

 江崎さんによると、市周辺の野生のサルは、福岡、佐賀県境の脊振山などに生息。目撃されているサルは、体格や体毛のつやなどから5~10歳のニホンザルとみられ、人間なら10代後半~20代前半に相当するという。

 サルは群れで行動し、暖かくなる春に餌を求めて活動範囲を広げる。「若さゆえの冒険心で群れを離れて山を下りたか、群れ内部でのけんかの末、単独行動した可能性もある」(江崎さん)という。

 人に見つめられると、サルは挑発行為と受け止めるという。江崎さんは「姿を見たら、目を合わさず、その場を離れて情報提供を」と注意を呼び掛ける。

この記事は2015年05月14日付で、内容は当時のものです。

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