2匹の子育て奮闘中 肝っ玉母ちゃんザル「カラオケ」 “育児放棄”に手差し伸べる 大分市・高崎山

 ●わが子同様 分け隔てなく

 大分市の高崎山自然動物園で、あるサルの子育てに注目が集まっている。わが子だけでなく、“育児放棄”された子ザルも育てている母ザル「カラオケ」。双子を産むことがほとんどないニホンザルにとって、2匹を同時に世話する“肝っ玉母ちゃん”は異例中の異例で、園は「奇跡的につながった小さな命の先行きを温かく見守ってほしい」と話している。

 園によると、5月28日、生まれて2日目のオスの子ザルがえさ場で放置されているのが見つかった。直前までそばにいた母ザルに再び抱き上げられることはなく、1匹でいるところを同じ群れのカラオケに抱え上げられたという。

 カラオケは推定9歳で人間に例えると20代後半。5月18日にオスの子ザルを生んでおり、6月2日には2匹の子ザルに同時に授乳している姿が目撃された。「カラオケが引き取らなければ子ザルは間違いなく死んでいた」と園職員。以来、腹と背に1匹ずつ乗せてえさ場に往来したり、2匹を交互に毛づくろいしたりして、分け隔てなく育てている。

 ニホンザルは複数の子どもを産むことがほとんどなく、1953年の開園以来、高崎山で双子が生まれたのは9例。最後に確認されたのは91年だった。母ザルが出す母乳の量は限られており、子育て中は序列が上位のオスに守ってもらう必要もあるため、9例のうち無事に2匹が育ったのは3例しかないという。

 カラオケは群れのナンバー2「マクレーン」のそばにいることが多く、実母の「ボックス」も健在なことから、「周りの大人たちの協力を得て2匹を立派に育てている」(園職員)。母乳の量が豊富で、元来の面倒見の良さも手伝って、困難と思われた2匹の育児に成功しているとみられる。

 双子のように愛らしくカラオケの胸に吸い付く“兄弟”の姿に、来園者からも「かわいらしい!」と共感する声が広がっており、2匹の成長に優しいまなざしが送られている。じわりと人気も出てきており、園職員の木本智さんは「サルにも血のつながりだけではない愛情がある。カラオケの子育てを通して、他者とのつながりや愛情の深さを感じ取ってもらえれば」と話している。

この記事は2015年08月31日付で、内容は当時のものです。

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