退寮指導で高額通学費 鹿児島県立野田女子高 十数万円上る生徒も 校則違反理由 専門家「配慮欠く」

 鹿児島県出水市の県立野田女子高が、携帯電話の校内への持ち込みなど校則に違反した寮の生徒を一時退寮させ、自宅から通学させる指導を繰り返していたことが分かった。関係者によると、寮生の多くは自宅が遠く、指導中の交通費が十数万円に上った例もあるという。専門家は「経済的負担が大きく、配慮を欠いた指導」と指摘している。

 複数の関係者によると、退寮指導の期間は数週間から1カ月程度。1年間に複数回の指導を受け、片道120キロを新幹線などで2時間、約4千円かけて通い、体調を崩した生徒もいる。退寮期間は事前に示されないため、定期券を購入できず、交通費がかさむ要因になっているという。

 同校は九州唯一の県立女子高で、食物科、生活文化科、衛生看護科がある。各種資格が取得できるため県内全域の生徒が在籍し、希望者は寮に入る。同校によると、退寮指導は、家庭内で親子が話し合い、反省を促すのが目的。事前に保護者の理解を得ており、指導によって生活態度の改善がみられるという。

 退寮指導の妥当性について、佐藤真由美校長は「西日本新聞の取材に応じた関係者の名前や経緯などを明かさない限り、コメントできない」としている。

 九州大大学院人間環境学研究院の八尾坂修教授(教育経営学)は「生徒に十数万円もの負担を強いる指導は適切といえず、学習機会を奪うことにつながる。反省を促すのなら、別な指導方法はいくらでもある」と指摘している。

 ●「厳しすぎる」 他校からも疑問

 校則違反を理由に退寮させる指導は、九州の多くの高校に存在する。ただ、喫煙や飲酒、窃盗など法に触れる行為を対象とし、通学困難な生徒には別の指導を選ぶ高校がほとんどだ。野田女子高の指導には他校からも疑問の声が上がる。

 西日本新聞のまとめでは、鹿児島県内で寮のある県立高は19校で、退寮指導は楠隼(なんしゅん)(肝付町)を除く18校で規定がある。このうち9校が無期限の退寮を定め、6校は「退寮指導をした記憶はない」とした。福岡県内の複数の高校にも退寮規定があった。

 野田女子高の指導については、鹿児島県のある教頭は「携帯電話の違反で退寮は厳しすぎる」と指摘。福岡県の教頭は「指導では交通費などの事情を最大限考慮している」と話す。

 鹿児島県教育委員会の帆西弘幸生徒指導監は「指導の判断は各校に任せており、個々の高校の指導が適切かどうかはコメントできない」と語った。

この記事は2016年03月08日付で、内容は当時のものです。

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