【特派員オン・ライン】「ワニの池」の無残な姿

 タイの東北部を訪ねたときのこと。「ワニの池」と呼ばれるため池があると聞き、車を走らせた。入り口には巨大なワニの石像。さあ、どんな大物が現れるか。どきどきしながら足を踏み入れると、そこには予想外の光景が広がっていた。

 ヤフオクドーム(福岡市)1個分はあろうかという広大な池に、水が全くないのである=写真。底の土がひび割れて露出し、ワニどころか、魚一匹いない“死の池”が口を開けていた。タイは今、干ばつに見舞われている。東北や中部、北部の稲作農家への影響が懸念されているが、事態は思った以上に深刻だった。

 農業用水をためる「ワニの池」の隣には、飲み水用の貯水池があるが、こちらも空だった。200世帯が暮らす村は、隣の村から水を融通してもらっているが、いずれ底をつくという。農家の男性(50)は「昨年からこんな状態。雨は降ってもわずかだ」と空を見上げた。

 4月にはタイの正月、ソンクラーン(水掛け祭)を迎える。ずぶぬれになって水を掛け合い、互いの幸せを祈るお祭りだが、行政の一部からは例年のような大規模な水掛けの自粛を求める声も上がる。私も心から祈りたい。雨よ、降れ。

この記事は2016年03月10日付で、内容は当時のものです。

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