いじめ 幅広く例示 心身への悪影響で けんかや善意でも 文科省・対策協案

 いじめ防止対策推進法の運用改善を検討する文部科学省の「いじめ防止対策協議会」は12日、いじめとして認知すべき具体例を初めて盛り込んだ防止対策の素案を示した。親切心で行った行為でも当事者の児童らに心理面などで悪影響を与えた場合はいじめとして認知するなど、社会通念上はいじめとは考えにくい行為や、従来は「けんか」として処理していた行為も幅広く拾い上げ、事態の深刻化を早期に防ぐ狙い。月内に成案を取りまとめ、教育現場での徹底を図る。

 同法はいじめを「児童生徒間で心理的または物理的な影響を与える行為があり、行為の対象者が心身の苦痛を感じていること」などと定義。ただ、学校側がいじめと捉える判断はまちまちで、2014年度の千人当たりのいじめ認知件数は最少の佐賀県と最多の京都府で30倍以上の開きがあった。このため協議会は、法律上いじめに当たる具体例を明示し、改めて定義の周知徹底を図ることとした。

 素案では、算数の問題を解こうとしていたAさんに対し、Bさんが親切心から解き方と答えを教えたところ、あと一息で正解にたどりつこうとしていたAさんが泣きだしたケースを例示。Aさんが苦痛を感じたと認められるため、いじめと認知すべきだとした。一方、Bさんに対しては「いじめ」という言葉を使わずに、Aさんが泣いてしまった理由を気付かせるなどの指導が必要だとした。

 素案はこのほか、公立学校の教職員が法で義務づけられたいじめに関する情報共有を怠った場合、懲戒処分となり得ることを改めて周知する方針も明記。教職員が膨大な日常業務を抱える中、いじめへの対応を部活動の指導などより優先するよう促す一方、部活動休養日の設定などの負担軽減策も盛り込んだ。

 同法は、2011年に大津市の中2男子がいじめを苦に自殺したのをきっかけに制定、13年9月に施行された。付則で施行後3年をめどに法改正を含めた措置を取ることになっている。

この記事は2016年10月13日付で、内容は当時のものです。

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