いまどきの学校<13>子育てサロン 乳幼児と触れあい成長

 中学校の敷地内なのに、幼児の笑い声や元気な足音が聞こえてきた。宮若西中(宮若市金丸)の校舎北側にある離れの茶室。乳幼児の親たちが育児の悩みを話し合ったり、情報交換したりする「子育てサロン」だ。市教育委員会の社会教育課が支援して金曜日に月2、3回程度開いている。2月26日は市内外から1~3歳児と20~30歳代の母親の11組が参加した。

 午後1時を過ぎたころ、中学生が一人また一人と入室してきた。近くの男児を招いて絵本の読み聞かせを始める生徒もいれば、どう接したらいいか要領をつかめない生徒も。

 「ああ、もう泣きだしそうになった。先生助けて」。思い切って女児を抱き上げた女子生徒は、表情からみるみる笑顔が失われていく様子にたまらず、教師に救いを求めた。

 生徒の参加は自由。入学時から積極的に交流している3年の薦野茜さんは「サロンではお母さん達の話が参考になった。泣いた時にはだっこをしてあやしたり落ち着くのを待ったり、対応はそれぞれ。正解は一つじゃないことが分かった」と振り返る。薦野さんに誘われて参加した3年の坂本遥さんも「赤ちゃんたちに笑顔をもらうと最高の気分転換になる」と打ち明ける。

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 宮若西中の子育てサロンは2007年度に統合前の宮田西中で始まった。きっかけは、全国的な問題になった子どもへの虐待。少子化で周囲に乳幼児がいる経験のないまま親になった若い世代が、わが子にどう接して良いか分からず悩んでいることが背景として指摘された。市教委は中学生への教育効果を期待して、それまで公民館施設で開いてきた子育てサロンの会場を宮田西中に移した。

 本年度開かれたサロンは計26回。親子約5~20組、生徒は10人前後が参加した。舟津琴教頭は「生徒にとっては命の大切さを学び、優しい心を育むなどの成果があった」と手応えを語る。

 ただ、宮若西中でのサロンはこの日が最後。新年度から若宮小と統合し、新校舎での小中一貫教育が始まるためだ。宮若市地域活動指導員の毛利幸子さんは「中学でのサロン開催は『空き教室利用』という位置づけ。新校舎建設では原則必要な施設しか設計に入れることができず、継続は難しくなった」と説明する。

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 子育てサロンを通じた交流は、高校生によって続けられる。県立鞍手竜徳高(宮若市龍徳)は、同じく市の支援で11年度からサロンを開いている。新年度からは、福祉サービス系列の3年生を対象にした「福祉ボランティア入門」の授業を月1回から2回に増やす。

 同系列は看護師や介護施設職員などを進路に選ぶ生徒が多いが、子どもにかかわる仕事を希望する生徒も含まれる。乳幼児と接することで介護の場面でも必要とされる細かな気配りなどが身につくという。12年度には県から教育力向上県民運動の優秀実践校の表彰を受け、現在も県内外から視察が相次いでいる。

 担当の江田晶子教諭によると、生徒数は本年度の10人(男子7人)から新年度は15人(同6人)に増える予定。「授業数が増えれば親子と生徒が触れ合う機会も確保できる。協力を深めていきたい」と話している。

この記事は2016年03月01日付で、内容は当時のものです。

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