すし職人から警官に 魚より悪人をさばきタイ 田川署・小松巡査 カレイな転身ブリ

 「へい、らっしゃい!」とはさすがに言わないが-。元すし職人の若手警察官が福岡県香春町で奮闘している。田川署香春交番の小松達也巡査(29)。調理服を制服に着替えて1年半、「魚をさばくのではなく、悪人をさばく刑事を目指す」と意気込む。

 熊本県天草市出身。同市の高校を卒業後、親戚がすし店を経営していたこともあり、すし職人を目指して福岡市の調理専門学校に入学。2年間通い、同市・中洲のすし店に就職した。初めの1年は包丁や魚には一切触れさせてもらえず、接客と皿洗いの毎日。「この時が一番つらかった」

 店が繁華街にあったこともあり、店外ではよくもめ事が起きていた。天草にいた時にはめったに目にしなかったパトカーを見掛けるようになった。店に来ていた店主の知人の警察官から仕事の大変さややりがいを聞くうち、「人の命を守ることに直結した仕事がしたい」と思うようになった。

 最初は反対していた店主も、熱意にほだされ、背中を押してくれたことから転職を決意。県警の試験を受け、2回目の挑戦で合格した。27歳だった。

 昨年4月に巡査を拝命し、今年2月から香春交番の勤務に。毎日交番を訪れる地域の人への応対や交通違反の取り締まりなどに当たる。心掛けているのは「相手の年齢にあった話し方や安心できる対応」という。そんな新米巡査を上司の巡査部長(55)は「物おじせずに人と話せている。親しみを持たれる第一印象は重要。商売の経験が生きている」と見守る。

 9月下旬、署内であった若手警察官の発表会で仕事に対する思いを発表した。5年間続けたすし職人の経験から「すしは作り直しができることもあるが、警察の仕事は1回のわずかなミスでも人の命が失われたり、危険にさらされたりする。失敗が決して許されない」と語った。

 小松巡査の夢は殺人や強盗事件などを担当する強行犯係の刑事になること。「努力を欠かすことなく犯罪と戦っていく。1人でも多くの人を犯罪から守りたい」。迷いない表情で誓った。

この記事は2016年10月06日付で、内容は当時のものです。

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