いまどきの学校<9>英語力向上 国際化にらみ官民動く

 福岡県飯塚市内のホテルの一室。小3~中3の児童・生徒が米国人講師を囲んでいた。麻生グループの中核企業「麻生」(同市)が国際社会で活躍できるリーダーを育てようと、昨年10月に始めた無料の英語塾「グローバルイングリッシュプログラム」の1期生だ。

 授業は週1回2時間。レベルに応じて初、中、上級があり、1月30日は上級コースの7人が受講。「飯塚でお薦めする3カ所」を英語で発表し、感想を述べ合った。

 「伊藤伝右衛門」「嘉穂劇場」などの固有名詞は日本語だが、それ以外はほぼ英語しか聞こえない。中3男子の発表に対し、最年少の小3女子が「ジェスチャーを交えて発音もはっきりしていた」と英語で感想を述べた。年齢に関係なく自分の考えを堂々と語るのも「欧米流」だ。

 講師のフランク・カブリドさん(48)は「語学を教えている意識はない。コミュニケーション能力を伸ばすことが重要で、国際社会で必要な考え方を身に付けてもらうのが目的。参加者もその意識が高い」と語る。

 麻生のグループ経営推進部によると、3クラスには市内の小中学生計23人が通う。昨年8月の募集だったため、希望者には同時期に実施された飯塚市の友好都市で米国シリコンバレーにあるサニーベール市への研修に参加した中学生も多く含まれた。

 上級コースの定員8人のうち、サニーベール研修の経験者は4人。飯塚第一中3年の佐伯鞠さん(15)は「サニーベールに行ったことで英語力が十分でないと感じた。ここではいろんな表現を教えてもらえる」と意欲的だ。

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 これまで市はサニーベールに中学生を2回派遣したが、やる気があったはずの生徒が現地では英語を使うことに戸惑う姿が見られた。片峯誠教育長は「研修の成果を上げるにはもっと英語や外国人に慣れておく必要があることが分かった。今はその問題意識が共有できている」と語る。

 期待をかけるのがインターネットによるマンツーマンの英会話授業だ。タブレット端末などを活用した研究授業の指定校になった飯塚小で昨年9月に始まり、1月29日の発表会で公開された。

 6年生23人がそれぞれ与えられたタブレット端末に向かい、画面にはフィリピン人講師の姿。無料通話ソフト「スカイプ」で飯塚市とフィリピンのセブ島がつながっており、会話は25分間続いた。どの児童も笑顔。質問が分からないことによる沈黙や外国人に対する緊張感もない。

 授業は全10回の8回目。熊井秀斗君(12)は「どの先生も発音の間違いを丁寧に教えてくれるし、友達同士でも英語を話すことが楽しい」と満足そう。

 市教委によると、サービスを提供するのは東京の会社で「試用期間」扱いのため授業料は発生しない。本格導入になれば予算も必要になるが、片峯教育長は「インターネット会話の活用で児童は確実に変わった。ALT(外国語指導助手)による生の授業と組み合わせることで、英語への壁は取り払われるのではないか」と見通す。

 国際化を意識した新たな取り組みが、筑豊でも始まっている。

この記事は2016年02月02日付で、内容は当時のものです。

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