いまどきの学校<5>熟年の協力 優しい目で児童見守る

 朝の教室ににぎやかな声が響く。いつもと違って、教室にいるのは児童ではなく、地域のおばあちゃんやおじいちゃん。飯塚市立平恒小が毎週金曜に開く「熟年者マナビ塾」だ。午前9時になると60~70歳代の15人が集まり、全員でストレッチや脳トレをスタート。その後は裁縫や手工芸品の制作を楽しむ。

 活動は午前中。ずっと部屋で過ごすことも多いが、この日は2時間目に2年生の教室を訪れた。児童28人の手には「かけ算九九がんばりカード」。授業や家庭で覚えたかけ算をきちんと暗唱できるか、塾生が聞き取って合格ならばカードにはんこを押す。

 「よく覚えてるけどちょっと急いでるわね。深呼吸して落ち着いて、もう一回言ってみようかな」。緊張のため声が途切れがちな男児に女性の塾生が声を掛けた。孫を見守るような優しい目だ。

 マナビ塾では学校と話し合って毎月1~2回、児童とも交流する。お手玉やあやとりを教えたり、遠足に同行して交通安全に目を配ったり。校区内にはかつて三菱飯塚炭鉱があり、3年生に当時の会社の様子や炭鉱住宅の暮らしを伝えたこともある。城石俊弘校長は「教師だけでは手が回らないことも快く協力してもらっている。校外で声を掛けてもらうこともあり、頼もしい存在」と感謝する。

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 熟年者マナビ塾は旧穂波町が2005年、週1回の活動として5小学校で始めた。市町村合併後、飯塚市内の全22小学校に広がった。

 市生涯学習課によると、熟生は九九聞き取りなどの教育支援のほか、花壇の手入れや植木の枝切りといった学校環境の整備にも取り組む。ボランティアのため必要経費しかかからず、学校に大人が増えることで不審者対策にもなる。塾生にとっても健康維持や趣味の幅を広げることにつながるという。

 ただ、12年には22校に約210人いた塾生が、現在は20校の192人に減った。背景には塾生の高齢化と固定化がある。平恒小の塾生も多くが以前のPTA仲間。健康上の理由で退会する人はいても、新たな加入者は少ない。

 今後は市が取り組む小中一貫教育校への備えも必要になる。平恒小は17年度までに楽市小と穂波東中学校区の一貫校に統合される。新校舎にはマナビ塾の部屋が確保される予定だが、楽市小にも10年超活動するマナビ塾がある。二つの塾をどう運営するかは決まっていない。

 平恒小マナビ塾の松尾フユ子塾長(73)は「合併するのがいいか、曜日を変えてそれぞれ活動するか、子どもたちへの影響も考えて慎重に決めたい」と思案している。

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 飯塚市は来年1月24日午前9時から、同市有安の庄内公民館で塾生による活動発表会を開く。見学無料。市担当者は「子どもたちに囲まれて活動することで塾生も元気をもらっている。地域の中に居場所ができるし、やりがいも感じられる。まずは輪に加わってほしい」と呼びかける。市生涯学習課=0948(22)3274。

この記事は2015年12月15日付で、内容は当時のものです。

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