いまどきの学校<1>外国人指導 進む国際化、教師は模索

飯塚市立片島小で行われている日本語授業。この日は数詞や丁寧語の使い方を学んだ 拡大

飯塚市立片島小で行われている日本語授業。この日は数詞や丁寧語の使い方を学んだ

 思わぬ連絡に筑豊地区の小学校校長は戸惑いを隠せなかった。「アジアから来た兄弟2人が転入を希望している」。地元の教育委員会から知らせが入ったのは昨年8月下旬。2学期スタートの直前だった。

 「言葉はどうする。生活習慣への配慮は」。不安ばかりが頭をよぎった。兄は英語ができたため、教委は急きょ英語の非常勤講師を雇って対応したが、それも予算の都合上、一カ月限定。その後はわずかな謝礼で年度末まで有償ボランティアとして支援してもらった。

 学校や地元教委は県教委に日本語指導教員の配置を求めたが、かなわなかった。本年度は特別支援教育を受け持つ教員が対応するなど、校内のやりくりでしのいでいる。「言葉や学校生活は、ある程度不自由がなくなってきたけど、教師にしわ寄せが出ている」。校長は打ち明ける。

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 飯塚市立片島小の3階。「外国人児童教育支援教室」の看板が掛かる教室で、中国籍の小学1年、徐天幻さん(7)がマンツーマンで日本語指導を受けていた。通常の授業に加え、週2回程度この教室に通う。

 片島小は、飯塚市が2010年度から取り組む「外国人児童生徒教育支援事業」の拠点校。日本生まれで友人との会話には問題ない徐さんも、より正しい日本語を学ばせたい両親の意向で、目尾小校区の自宅から毎日通っている。

 「習得しやすいのは低学年。中学生になると授業のレベルが上がるから適応は難しくなる」と担当の石田智美教諭(44)は説明する。飯塚第一中にも巡回して1人を教えるが、定期考査で問題文にルビを振ってもらうなど、担任や各教科の教師の協力なしでは支援は難しいという。

 市が支援事業を始めたのは、中国人留学生が片島小に「外国人子弟向けの英語学校ができないか」と要望したのがきっかけだった。今年6年目を迎え、これまでに受け入れた外国出身の児童は約30人に上る。しかし、一貫した指導マニュアルはなく、担当教諭任せというのが実情だ。

 3代目の石田教諭も本来中学の英語教師で日本語指導はゼロからの出発。今年から、福岡市で開かれている研修会でノウハウを学んでおり、「せっかくの制度を維持するためにも、より効果的な授業を実現させたい」と話す。

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 筑豊15自治体によると、筑豊の小中学校に通う外国籍の児童生徒は計40人。母親が接客業に従事するフィリピン人や、大学院に所属する中国人の子弟が多い。各自治体とも日本語指導が必要かなど、個別の事情の把握は十分とは言えない。飯塚市も告知のチラシは日本語版しかなく、外国人の保護者にまで情報が伝わっているかは疑問だ。

 「国際化が進み、地方でも簡単に世界とつながる時代になった。身近に外国籍の友人がいるのは国際理解には最適だが、受け入れ側はどこも手探り状態だろう」。同じ境遇の教師の気持ちを代弁するように筑豊地区の校長は語った。

この記事は2015年11月10日付で、内容は当時のものです。

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