いまどきの学校<32>MIM学習 「読む力」手厚く指導

 でんしゃ、しゃりん、らっこのしっぽは…。テレビ画面に次々現れる「っ」の促音、「ゃ、ゅ、ょ」の拗(よう)音、ぼうしの「う」の長音の文字が付いた言葉を子どもたちが読み上げていく。次に取り組んだのは、タブレット端末を使ったトレーニングだ。

 「なっとうむっつがっき」

 ひらがなが連なった言葉が画面に現れ、「なっとう、むっつ、がっき」と音節で区切っていく。すらすらとできる子もいれば、言いよどむ子、区切る部分を差す指が止まる子もいた。

 10月下旬に訪れた飯塚小(飯塚市西徳前)1年生の国語の授業だ。低学年で文字と音との結びつきを理解する読みを学ぶが、「特殊音節」(促音、拗音など)でつまずく場合が多い。「しゃ」のような特殊音節は、2文字で発音一つというように文字と音が一対一で対応しないためだ。

 「読みは、すべての学習の土台。確実に習得させたい」と、飯塚市が2011年度から市内の全22小学校の第1学年で始めたのが、「Multilayer Instruction Model」(多層指導モデル、MIM)の取り組みだ。授業や毎月1回のテストで児童の読む力を継続的に点数化し、3段階に区別。読む力が弱い児童には、給食の準備時間や放課後などの時間帯に、職員室や校長室で担任教諭を含む複数の教師らが指導に当たるシステムだ。

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 「2学期までは通常の授業で児童全員に教え、3学期からは読みの力に合わせて児童を個別に対応していきます」と話すのは、同市でのMIM導入の中心となってきた飯塚小の杉本陽子教諭だ。「これまでは読みの力が大事にされず、授業以外で教えるのは先生個人のやる気に委ねられていた。読む力を点数化して情報を共有することで読めない子をそのままにせず、複数の指導者で当たれる効果は大きい」と語る。

 飯塚市では15年度に、「読む力」を重視したMIMの指導方法が掲載された国語の教科書を採択。提唱する独立行政法人「国立特別支援教育総合研究所」(神奈川県横須賀市)の専門家を講師に招き、各校の教諭による指導者研修会も年3回開催している。

 目に見える成果も出ている。全国で実施されている標準学力検査では、飯塚市の小学2年生の国語の偏差値が11年の52・5に対し、15年には54・9に上昇。「読む」「話す聞く」のいずれの項目も平均値が全国比で上回り、4年間で伸びを見せた。

 嘉麻市もMIMの取り組みを始めており、周辺自治体にも波及。飯塚市教育委員会の片峯誠教育長は「先生たちがMIMの研修を重ね、意識が向上したことも大きい。小学4年頃には学力格差ができるが、その前に子どもたちの学力の基盤を作る。学校によって習熟度に差があるので、今後も続けていきたい」と話した。

この記事は2016年11月01日付で、内容は当時のものです。

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