いまどきの学校<35>留学生 日本人にとって刺激に

 「私は来年卒業した後、飯塚で働きます。そしていつか二瀬流が飯塚山笠で優勝できるようにがんばります」

 中国出身で九州工業大情報工学部(飯塚市)の留学生孫志〓(〓は「二点しんにょう」に「貌」)さん(27)が、厳しい日中関係の中飛び込んだ山笠で育んだ友情や、今年最下位に終わって流した涙を語ると、会場から拍手が起きた。

 13日に同市であったスピーチコンテスト。今年で15回目、日本人中高生による英語での発表とともに好評なのが留学生の日本語スピーチだ。今年も九工大と県立大(田川市)の男女7人が登壇、日本の生活での驚きや体験を流ちょうな日本語で披露した。

 イスラム教徒による「困難と冒険」を語ったのはマレーシア出身のノール・ファウズィア・ビンティ・モハマド・ハヤさん(21)。髪を隠すためのヒジャブ(スカーフ)を付けて外出すると好奇の目で見られ、「自分が変な人と思われているようで悲しかった」と振り返った。一方で「いつまでも変な人でいたくない」「自ら声をかけるようにしたい」と胸を張った。

 祭りへの参加や日常での触れ合い。「地域との交流を通じて相互理解が深まっている」。コンテストを主催する飯塚国際交流推進協議会前会長で、留学生支援を続ける飯塚友情ネットワークの縄田修理事長(73)はほほえんだ。

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 飯塚市によると、市内で学ぶ外国人は123人。最も多いのは中国からの59人で5割近くを占める。このうち大学に通う中国人は26人で、残る33人は“高校生”。全員が飯塚高(同市)で学ぶ。同高は1995年に中国・大連市の高校と交流を始め、その後は太原市や西安市など中国各地の高校からも生徒を受け入れる。

 「『出世のためとあれば…』。この意味が分かる人?」

 飯塚高の教室では、日本語能力試験で最も難易度が高い「N1」の問題を解く授業が続いていた。質問に答えるのは中上級クラスの中国人13人だ。

 2014年10月に来日の孔沢奇さん(20)はすでに来年入学に向けて青山学院大に合格、「横浜国立大が第一志望で金融関係を学びたい」と語る。王早芳さん(18)は4月の来校ながら日本語能力はトップクラス。「慶応大や九州大を受験する」と話す。

 同高には2人のように母国の高卒資格を持ち、外国人を対象にした試験で大学進学を目指す生徒が25人いて、日本人と同じクラスから通常の受験で大学を目指す中国人も8人在籍する。同コースからも過去には上智大などに進んだ。

 7日にはベトナム・ハノイ市の高校生が短期交換留学のため来校。同行した同市幹部職員にも、同高スタッフは「多国籍の環境で豊かな国際感覚を持った人材を育てている」とアピールした。

 学校の進学実績につながる留学生は高校のPRになるだけでなく、アジア諸国の経済発展によって、日本人生徒と同様に授業料や寮費の収入も確保できるメリットもある。同高の嶋田吉勝理事長は、「優秀な外国人との切磋琢磨(せっさたくま)することで、日本人生徒のライバル心も刺激されている。寮などの整備も必要だが、今後も受け入れを広げたい」と意欲的だ。

この記事は2016年11月22日付で、内容は当時のものです。

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