いまどきの学校<36>基礎学習の徹底 学力向上へ外部教育者

 「成績を上げるには知能を高めることが必要」「知能を高める具体策は、読み書き計算の徹底反復」。スクリーンに箇条書きのコメントが映し出される。見据える小中学校の教員約30人に、スクリーン脇の講師はこう強調した。「子どもは小学1年生の時の指導のつまずき次第で落ちこぼれていく。学校を挙げて対策を考える必要がある」

 11月上旬、田川市教育委員会が開いた学力向上検証委員会。市は本年度から、小学校の学力向上アドバイザーに陰山英男立命館大教授(58)を招き、百ます計算などを徹底反復する学習法「陰山メソッド」を市内小学校に導入。この日は、各学校の担当教員らが半年間実施した成果やデータ、課題の情報を交換。陰山氏が助言、指導のため出席した。

 陰山メソッドの推進校となっている小学校のある学級では、百ます計算で満点を取った児童の割合が1カ月で61%から91%まで上昇した事例などを報告。陰山氏は「想定外の伸びに驚いている。半年で学力向上は可能ということが示された」とした上で「各学校で学年や学級の素のデータを公開、共有できたことは大きな成果だ。田川市の実践は最初の大きな壁を一つ越えた」と評価。今後は、習熟不足でコンプレックスを抱える児童の苦手な部分を特定し、さかのぼって指導するよう求めた。

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 中学校の学力向上は、大阪府教育委員の小河勝氏(72)が学力向上アドバイザーとして、てこ入れを図っている。各校では小学校段階の習熟度が測れる「小河式プリント」を活用し、中学生が小学校のどの分野で理解していないかを把握する「つまずき調査」に取り組んでいる。

 11月中旬、小河氏は市内7中学校を訪問し、各学校の国語、算数のつまずき調査資料に目を通した。ある中学校の算数の資料には、横軸に各学年・各学級の生徒の番号、縦軸に「59・5÷0・7」「四つの表から比例するものを選ぶ」など小学2~6年に習った問題が上から50問並ぶ。誤答した生徒の欄は色塗りされている。色塗りの部分を見れば、各生徒がどの学年のどの分野でつまずいているかを把握できる仕組みだ。

 色塗り部分が目立つ資料を手に、小河氏は「多くの生徒が小学校時の積み残しを抱えたまま中学校のカリキュラムを受けている状態だ」と苦言を呈した。

 その打開策として、小河氏は、市内の小中学校教員との学力向上検証委員会で「小中学校が一体でつまずいた生徒に基礎演算や小数、分数などの基本的な部分の力をつけてやることが重要」と強調。授業時間の一部や授業前の時間の確保や、つまずき調査などのデータの活用など、相互に意見交換をして取り組むことを課題に挙げた。

 「勉強が分からない生徒に分からせてやるのは教師の務め。分からない子どもが抱える無力感を取り除いてやれば、学校の『荒れ』も消え、落ち着く」

この記事は2016年11月29日付で、内容は当時のものです。

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