長浜屋台 遠い横断歩道 新しい移転地 車道渡る酔客、ひやり

 名物屋台は移転開業したけど、今度は交通事故が心配…。福岡市の営業適正化ルールに基づいて今年2月、同市中央区長浜地区内で約150メートル移転した新しい屋台集積地(9店舗)の周辺に横断歩道がなく、一部の利用者らが車道を渡る危険な状況になっている。長浜の屋台は、全国ブランドとなった長浜ラーメン発祥の地であり、約60年の歴史を誇る福岡有数の観光資源。関係者からは対策を望む声も出ている。

 6月中旬の土曜日の夜。市鮮魚市場南側に移転し、現在営業している8店舗は、海外からの観光客や、ヤフオクドームでナイター観戦した野球ファンでにぎわっていた。

 取材していると、目前にある片側2車線の市道(幅13メートル)を、南側から横断して屋台に近づいてくる客がいることに気付く。逆に屋台を後にして、ふらふらと市道を横断していく酔客も。その数は午後7時から翌午前1時半までに、記者が確認できただけで計36人。都心部で夜間でも交通量は一定程度あり、横断途中で走ってきた車からクラクションを鳴らされる女性の姿もあった。

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 長浜地区の屋台は2月、市と協議を重ねた上、市鮮魚市場西側から現在地に移った。以前の営業場所は歩道が狭く、人が歩けるスペースとして幅2メートル以上を確保するよう定めた市屋台基本条例にそぐわなかったからだ。市は移転先に公衆トイレや上下水道、電気を整備した。

 ところが、移転した屋台が面している市道は東西約250メートルの区間にわたり、横断歩道が設置されていない=地図参照。横断歩道まで最も近い屋台でも約60メートル。このため、道路の反対側にある駐車場の利用者やタクシーを降りた人たちなどが、遠回りするのが面倒くさくて車道を横切っているという。

 「この道は大型トラックがスピードを出して通過することも多く、いつか事故が起きてしまいそうで危ない」。長浜移動飲食業組合前組合長で「天ぷら屋」店主の澤野繁春さん(65)は危ぶむ。長浜の屋台に40年以上通っているという市鮮魚市場勤務の男性(62)も「実際に、利用客が車と接触しそうなひやっとする場面を何度か見た。近くに横断歩道があった方が良い」。一方で、屋台関係者の間には「横断歩道をつくると(前後が駐停車禁止区域になり)場所によっては、開店や閉店の準備で路上に車を止められなくなる」との声もある。

 横断歩道は警察で要望などを聞いて設置の必要性を判断し、福岡県公安委員会で決定する。福岡中央署の幹部は「(対象地区で)歩行者の流れや交通量を考慮して最適な設置場所を決めるのは難しいし、そもそも渡るのは屋台の一部の客で、現状では横断歩道を設置すべきだとは言い難い」。地元自治体からの正式な要望も受けていないという。市中央区役所の道路適正利用推進課は「横断する酔客に注意を払うよう屋台に指導している」という。

 安全安心で楽しい屋台の実現へ向け、名物のラーメンのように歯ごたえと深みのある議論を待ちたい。

この記事は2016年07月04日付で、内容は当時のものです。

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