箸の上げ下ろしは「三手」

 猫の小町と申します。皆さんがお困りのことをたちまち解決していきます。第3水曜は「和食」の作法や文化について、マナーなどの教養を身に付ける「フィニッシングスクール インフィニ」(福岡市)の副校長で、和食検定実務1級認定者の三浦由加里さん(43)にお助けいただきます。

 箸使いには、その人の品格が表れます。一昔前までは各家庭で厳しくしつけられたと聞きますが、最近はいかがでしょうか。

 箸の歴史は古く、6世紀に中国から仏教とともに伝わったといわれています。欧州でナイフやフォーク、スプーンなどが使われ始めたのは16世紀ごろだそうです。そう考えると、歴史に千年も差があるのですね。

 中国や韓国の食卓では、箸先が相手側を向き、縦に置かれます。日本では箸先を左側に、使う人の前に横に置きます。

 箸使いの基本は上げ下ろしです。箸置きから取り上げるときは、次の「三手(みて)」という手順を心がけてください。

 右利きの場合、(1)右手で箸の中央から少し右を上から取る(2)左手を箸の下に軽く添える(3)右手を箸に沿って右へ滑らせ、下から持ち直す-という流れです。

 私が教えている作法講座で難しいとよく言われるのが、おわんや器を扱うときの箸の上げ下ろしです。和食器は両手で扱うという基本を踏まえます。

 (1)器は両手で持ち上げる(2)器を左手の手のひらに載せ、親指を縁に添えてしっかりと持つ=写真A(3)箸を右手で上から取り、器を持っている左手の人さし指と中指の間に挟む=同B(4)右手を滑らせ、箸を下から持ち直す=同C。箸を置くときは、持ち上げたのと逆の手順で箸置きに箸を置き、両手で器を下ろします。

 「忌み箸」といわれる箸使いのタブーにも気をつけましょう。忌み箸は大きく三つに分かれます。まず、一緒に食事をしている人を不快にさせる所作。食べ物の上で箸を迷わせる「迷い箸」、食べ物を突き刺す「刺し箸」、箸をなめる「ねぶり箸」などがあります。

 箸で食器を引き寄せる「寄せ箸」や、食事の途中に茶わんや器の上に箸を渡す「渡し箸」などは、食器や箸を傷つける所作です。

 さらに、箸をご飯に突き刺す「立て箸」や、食べ物を箸と箸で受け渡す「拾い箸」などは、縁起がよくない所作とされています。

 特に、渡し箸はよく見受けられます。箸置きがないと、正しい作法で食事ができません。自宅にお客さま用として箸置きが眠っていませんか。子どものいる家庭は、食事前に箸と箸置きを食卓に並べるのを手伝ってもらうといいですね。

 目上の方との食事会など改まった席で美しい箸使いをしたいと思っても、そんなときほどついつい日常の習慣が出てしまい、恥をかいたりするものです。日頃の食事から、正しい作法を心がけたいものです。

 


※この記事は2016/05/18付の西日本新聞朝刊(生活面)に掲載されました。

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