大皿料理は取り分けて

 猫の小町と申します。皆さんがお困りのことをたちまち解決していきます。第3水曜は「和食」の作法や文化について、マナーなどの教養を身に付ける「フィニッシングスクール インフィニ」(福岡市)の副校長で、和食検定実務1級認定者の三浦由加里さん(43)にお助けいただきます。

 和食をいただくと、四季の移ろいを感じますね。和食は「四季の旬を味わう料理」です。「目食」と書いて「もくじき」と読むように、和食をいただく際は、すぐに箸をつけるのではなく、まずは食材や盛り付け、器をめでて、季節を楽しみたいですね。

 暑くなるこれからの季節は、そうめんや冷ややっこ、ところてんなど、冷たい水を一緒に供すことで清涼感を演出します。イカもおいしい季節になりますね。関東などではスルメイカなどを食すようですが、九州は主にヤリイカで、イカの生き造りは九州の味として人気です。

 さて、生き造りや刺し身盛り合わせなど大皿料理をいただくときの作法が気になるという方も多いのではないでしょうか。

 大皿料理は、皿から直接口に運ぶのはタブー。必ず個別の取り皿に取り分けてからいただきます。自分の皿に美しく盛り付け、薬味やけん(大根などの千切り)も初めに取っておくといいですね。その際、自分の箸をひっくり返して使うより、取り箸をもらう方が、現代では衛生面からも好まれるようです。取り箸がない場合は、目上の方から箸をつけてもらうようにします。

 「刺し身のしょうゆにわさびを溶いてもいいですか?」という質問もよくあります。答えはどちらでもOK。ただし、しょうゆに溶いてしまうと、魚の種類によってわさびの加減ができないほか、しょうゆが濁ってしまいます。おいしく、美しく食べたい方は刺し身に直接わさびをつけるのがお勧めです。

 食べ物の一番おいしい出盛りの時季のことを「旬」と呼びます。旬の20日ほど前は「走り」と呼び、その季節の到来をいち早く楽しみます。旬が過ぎて食材が消えていく最後の時季は、寂しさと、旬を懐かしむ感情、再びおいしい季節が巡ってくるまでの余韻として「名残」と呼びます。日本人ならではの情緒が感じられますね。

 近年ではハウス栽培や養殖などでさまざまな食材が年間を通して出回っており、慌ただしい毎日の中、家庭でも同じような食材、献立になりがちです。でも九州は、少し足を延ばせば道の駅や産地直送市場などがあり、四季折々の食べ物があふれています。年に一度、また今年も無事「旬」に出合えたという喜びと感謝の気持ちでおいしくいただきたいものです。

 さて、今日はどんな食材で季節感を演出しましょうか。

 

※この記事は2016/06/15付の西日本新聞朝刊(生活面)に掲載されました。

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