高齢ドライバー事故続発受け 運転免許証の返納 若松署管内で急増 11月は昨年の約3倍 29人 福岡県

 ●「生活に必要」悩み深く

 高齢ドライバーによる交通事故が全国的に相次ぐ中、若松署管内で運転免許証を自主返納するお年寄りが急増している。年明けからの返納者数(11月29日まで)は158人で前年同期(113人)の1・4倍に。65歳以上の高齢化率(29・3%)が政令市で最も高い北九州市では、傾斜地や公共交通が乏しい地域に住むお年寄りが少なくない。「通院や買い物に車は欠かせない」という声も根強く、高齢運転者や家族は悩ましい問題に直面している。

 11月28日、高塔山公園(若松区)近くに住む野村栄宏さん(84)は妻(81)が運転する車で若松署を訪れ、「運転経歴証明書」を受け取った。「視力や聴力、体力の衰えを感じていた」という野村さんは中旬に免許証を返納していた。

 若松署によると、11月の自主返納者(同29日現在)は29人で前年の約3倍に。県警運転免許管理課によると、県内の1~10月の返納者は6831人で昨年1年間(7408人)を超えるペースだが、若松の現状は「市内でも有数の伸び率」(関係者)という。

 背景には、高齢運転者による交通事故が社会問題化していることがある。10月28日、横浜市で87歳の男が集団登校中の児童の列に突っ込み、男児1人が死亡し7人が重軽傷を負った。11月12日には、東京都内の病院敷地内で83歳女性が運転する車に男女2人がはねられて亡くなった。

 「免許取得から62年間、無事故だった」野村さんも5月、通院時に別の車と接触するトラブルに遭った。妻や娘から「被害者にも加害者にもなり得る」と説得され、以後はハンドルを握らなかったという。一方、若松区の高塔山や石峰山周辺に住む高齢者からは「坂の上り下りはつらい。免許返納なんて考えたことがない」との声が相次ぐ。

 夫婦2人暮らしの野村さんは「今後は妻を頼りたい」と漏らした。若松署の野口健次交通課長は「簡単に返納をと言えない現状が若松にはある」という認識を示しながらも「万が一があってからでは遅い。不安に思う人は相談してほしい」と訴えた。

この記事は2016年12月01日付で、内容は当時のものです。

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