慰安婦合意1年 釜山にも一時少女像 ソウルでは抗議集会

 【釜山・鶴加寿子、ソウル曽山茂志】旧日本軍の従軍慰安婦問題を巡る日韓合意から1年となる28日、韓国・釜山市の市民団体が同市東区の日本総領事館前に、慰安婦問題を象徴する少女像を設置した。約40人の市民団体メンバーが周囲に座り込んだが、東区の職員が強制排除し、約4時間後に像を撤去した。ソウルでは日韓合意に反対する集会が開かれ、韓国国内でくすぶる不満を映し出した。

 少女像は、ソウルの日本大使館前にある少女像と同じ作者が手掛けた。団体が市民から募った約8600万ウォン(約860万円)を制作費に充てた。団体側は当初31日に除幕式を開くとしていたが、予定を前倒しして総領事館前の歩道に置いた。

 東区は「区の許可を得ておらず、像は通行の障害になる」として像をトラックに積み込んで強制撤去。警察官約960人が一帯を取り囲み、現場は一時騒然となった。現地紙の釜山日報によると、公務執行妨害容疑で学生や市民約20人が連行され、大学生1人がけがで病院搬送された。

 団体役員は「元慰安婦のおばあさんの気持ちを分かち合おうと設置したのに、撤去されて悔しい。寄付金を寄せた市民のためにも活動を続ける」と泣きながら話した。

 ソウルの日本大使館前では、慰安婦問題を巡る日韓合意に反対する「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)」や市民団体が抗議集会を開催し、約700人(警察推計)が参加した。

 挺対協の尹美香(ユンミンヒャン)代表は「合意に反対する声は高まり世界各地で少女像が増えている。既に合意は無効化した」と強調。参加した最大野党「共に民主党」の秋美愛(チュミエ)代表は「朴槿恵(パククネ)大統領は、国民が納得していない合意を押しつけた。合意とともに消え去らなければならない」と訴えた。

 ●4時間後に撤去 怒号響く釜山

 「日本の言いなりか」「恥を知れ」。釜山市の市民団体が一時、少女像を設置した同市東区の日本総領事館前では28日、像を強制撤去する東区職員や警察に市民団体メンバーが反発。市街地に怒号が響いた。

 団体はこの日、総領事館近くの公園で日韓合意への反対集会を開催。終了間際に総領事館前に流れ込んだ。大学生らが総領事館に向き合うように少女像を置き、「屈辱的な慰安婦合意に反対する」「平和の少女像を設置し、日本の戦争犯罪を記憶する」と主張した。

 警察や東区は集会開始から団体の動きを警戒。このため団体は土台の固定作業はできず、メンバーが像を囲んで座り込んだ。

 東区職員らがメンバーを排除し始めると「東区は日本のために仕事しているのか」と抗議。設置から約4時間後、像がリフトでトラックに積み込まれると「持っていくな」「やめて」と悲鳴が上がった。(釜山・鶴加寿子)

この記事は2016年12月29日付で、内容は当時のものです。

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