わら・ゴジラ 11万人見物 延べ40社取材 ネットでも評判 福岡県

 ●筑前町担当者 「関わったみんなに感謝」

 わらや竹で作った筑前町の「シン・ゴジラ」が、4日で展示を終えた。高さ約7メートル、全長約10メートル。皮膚の凸凹や鋭い爪が細かく表現され、1カ月で延べ40社ほどのマスコミが取材。インターネットでも反響が広がり、推計で11万人が見物に訪れた。人口3万人の町で起きた「わら・ゴジラフィーバー」を振り返る。

<関連>「シン・ゴジラ」の町、前年には…9メートル巨大イノシシ制作

 展示最終日は小雨だったが、役場に程近い農地の一角は人出が絶えなかった。「想像よりも大きいし、精巧にできている」。家族3人で訪れた古賀市の会社員男性(32)は驚いた様子でゴジラを見上げた。

 町企画課の税田剛彦さん(37)は「最後まで多くの方々が見に来てくれた。こんなに話題になるとは思わなかった。関わった皆さんに感謝したい」と感慨を口にした。

 「インパクトのあるシン・ゴジラを目指します」。税田さんから構想を聞いたのは夏だった。

 筑前町合併10周年の昨年秋、収穫祭「どーんとかがし祭」に合わせ、町と住民がわらなどを使って五穀豊穣(ほうじょう)のシンボルである巨大イノシシを制作。迫力ある姿がネットで話題になった。

 今年は「マンモス」と聞いていた。「ゴジラ」は著作権が絡むので半信半疑だったが、「映画会社から許可を受け、シン・ゴジラに決定しました」。10月に町から連絡があった。

 制作を指揮したのは、家具店を営む西本和則さん(49)。映画会社からゴジラの写真の提供を受け、オリジナル家具を作る技術を生かして綿密な設計図面を引いた。

 9月中旬から本格的な作業を開始。制作費75万円はふるさと納税を充てた。

 ボランティア団体「筑前若者(わっかもん)会」(金子毅会長、15人)を中心に木材や竹で骨組みし、腕や脚、背中のひれなどを取り付けた。全身を包むわら編みは中学生や高齢者も協力した。制作に関わったのは約210人。「誰もが知っているゴジラ。見た人をがっかりさせたくなかった」(西本さん)。作っては壊す作業を繰り返して完成させた。

 11月1日、公開。小さな子どもは「怖い」と母親にしがみついた。新聞やテレビが報じ、検索サイト「ヤフー」のトップページに取り上げられると、ツイッターやフェイスブックで「感動した」と評判に。ブームに火がつき、沖縄、大阪、東京からも見物客が来た。

 思いがけない反応もあった。大相撲九州場所で隣の朝倉市に宿舎を構えた片男波部屋。取材に行くと、親方が「(部屋の)玉鷲関の目標はわらのゴジラを倒すことです」と笑わせた。

 さて、来年はどうなるのか。田頭喜久己町長は「主役は町民。町民の機運が高まれば、町として応援したい」と話す。

 展示中のゴジラの近くにあったメッセージボード。そこには「何のために作るのか…。それは、あなたの喜ぶ姿が見たいから…」とあった。地元愛にあふれたわらアート。来年も笑顔の輪が広がってほしい。

この記事は2016年12月08日付で、内容は当時のものです。

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