いまどきの学校<40>筑穂中女子ソフト部 少子化の中、10年ぶり復活

 「ファイトー!」。飯塚市長尾の筑穂中(生徒数215人)のグラウンドで、水色の帽子をかぶり、白い息を吐いて白球を追いかける生徒たち。「もっと声出して」と顧問の村上浩二教諭(56)のげき。「はい!」。女子ソフトボール部の部員たちの声が響く。

 地方の学校では少子化の影響で団体スポーツの部活動の存続が厳しくなっている。筑豊15市町村にある中学校全46校のうち、女子ソフト部があり、地元大会に出場してくるのは筑穂のほか、飯塚第一(飯塚市)、穂波西(同)、桂川(桂川町)の計4校だけだ。約20年前には10校ほどにあったが、部員不足で多くが廃部になった。筑穂中でも約10年前に一度なくなった。

 復活したのは2013年4月。11年に着任した村上教諭が、2年間かけて実現した。村上教諭は教師生活約30年間の大半をソフト部の指導に費やしてきた。「ソフトボールに興味を持つ子がいても、環境がなければ希望をかなえられない。裾野を広げたかった」

 近年、部活動指導に時間や労力を奪われ、教員が過剰な負担を強いられているという指摘がある。スポーツ庁が全国全ての中学校を対象に初めて行った部活動の実態調査によると、9割弱の学校が部活の顧問は「教員の全員が当たることが原則」という。

 背景にあるのは教員不足。新しく部を立ち上げるには、入部を希望する生徒が集まったとしても、顧問の教員を確保できなければ実現は難しい。村上教諭は「部の立ち上げを管理職や同僚に相談したとき、快く協力してくれた。ありがたかった」と当時を振り返る。

    ◇   ◇

 村上教諭の呼び掛けに当時2年生の女子生徒4人が賛同し、新生ソフト部が誕生した。4人のうち2人は運動が苦手で性格もおとなしめだった。活動はキャッチボールの練習やルールの説明から始まった。グラブやバットは、他校の部が使わなくなった物を譲り受けたり借りたりした。

 「部員が集まらなくて、また部がなくなったら…」。村上教諭の心配とは逆に、部員は徐々に増加。創部から2年は他校との合同チームで試合に臨んでいたが、15年から単独で出場できるようになった。現在は1、2年生とも9人ずつで計18人。筑穂中ではサッカー部(19人)に次いで部員が多い人気の部になった。

 部員の大半が入部当初は初心者だが、野球経験者の生徒が入部するケースも増えてきた。小学生の少年野球チームで男子に交じって野球をする女子も徐々に増えてきたものの、中学入学時には野球をやめることが多い。部員の2年畠中美空さん(14)もその1人。「野球は楽しかったからやめたくはなかったけど、中学では女の子同士でスポーツをしたかった。種目は変わったけど、毎日部活が楽しい」と笑う。

 村上教諭は「女子ソフト部が少なくなった中、『うちにはソフト部がある』という筑穂中の特徴を出すことにはなったのでは」と話す。実際、他校区の小学校に通う子どもの保護者が筑中ソフト部の存在を知り、問い合わせてきたこともあったという。

この記事は2017年01月17日付で、内容は当時のものです。

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