接客の安全 ホテル苦慮 博多・女性従業員監禁暴行事件 客室のドア開放 夜間は保安員も 「呼ばれたら断れない」

 女性従業員の安全をどう確保するか、ホテル関係者が頭を悩ませている。客室という“密室”に入ることから、福岡市博多区で従業員2人が客室内に監禁されて暴行される事件などが発生。人手不足や競争激化によるコスト削減が迫られる中、一部ホテルでは夜間対応に当たる男性従業員の確保も難しい状況で、サービスの維持と安全対策を両立させようと模索が続く。

 今月18日に起きた博多区の事件では、「テレビがつかない」という男からのクレームを受け、女性従業員が午前4時ごろ部屋を訪問。女性が戻ってこないため、別の女性従業員が部屋に行くと引きずり込まれた。2人はスタンガンを当てられた上、顔などを複数回殴られたという。男は7階から飛び降りて死亡。死後、覚醒剤の陽性反応が出た。

 「何度も『タオルを持ってきて』などと呼び出され、行くたびに話し掛けられ、部屋からなかなか出してくれず怖かった」。福岡市のビジネスホテルで勤務経験がある30代女性は自らの体験を打ち明ける。一方、あるホテルの関係者は「できる限りのサービスをするのが仕事。夜間に部屋に呼ばれても断ることはできない」と対応の難しさを話す。

 こうした現状を受け、対策を取るホテルも。フロント担当の従業員の約8割が女性という大手ビジネスホテルチェーン「東横イン」では従業員に防犯ブザーを持たせ、客室に入るときは必ずドアを開けておくよう指導している。

 福岡県内に本社を置くビジネスホテルでは、男性客の部屋を訪ねる際は男性従業員が対応し、従業員同士がすぐに連絡が取れるようインカム(通信機)を装着。福岡市内のシティーホテルでも夜間は男性従業員を重点的に配置し、保安員も置いているという。

 ただ、コスト面から十分な対策が取れないホテルも多い。全国のビジネスホテルなどでつくる全日本シティホテル連盟(東京都)によると、海外からの旅行客増加などを受けてホテルが次々に新設され、競争が激化。従業員の採用が難しく「人手不足のため、夜間に配置する男性従業員を確保するのは現実的に難しい。従業員の少ないビジネスホテルではなおさらだ」(連盟の担当者)という。

 帝国データバンクが昨年7月にホテル・旅館31社に行った調査では、半数以上が正社員、非正社員ともに不足していると回答。防犯問題に詳しい北陸大の山本啓一教授(地域防犯)は「従業員の安全を確保できないホテルはルームサービスの廃止など抜本的な改革を考えるべきだ。業界の問題として早急に取り組む必要がある」と指摘する。

この記事は2017年01月29日付で、内容は当時のものです。

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