住民論争の桜並木伐採 福岡市東区、植樹の男性「寂しい」 福岡県

 福岡市東区松香台の唐原(とうのはる)川沿いの桜並木が10日、伐採された。桜並木を巡っては堤防の安全面から撤去を主張する住民と、景観の保存を求める住民の意見が対立していたが、桜を植樹した近くの高倉新さん(72)が伐採を了承した。「寂しいが仕方ない。ごめんな。これまで楽しませてくれてありがとう」。高倉さんは桜の幹をそっとなでた。

 伐採されるのはソメイヨシノ15本。高倉さんが川の護岸工事終了後の30年ほど前、堤防のブロックと車道の間の土手に植えた。草取りや川の清掃をしながら、桜並木の成長を見守ってきたという。

 毎年春には、桜並木と面する学生寮に住む学生たちとも花見を楽しんできた。「川沿いには桜が似合う。みんなにも喜んでもらえていると思っていた」。だが、2013年に地域住民の中から「集中豪雨で倒木すると、川の流れをせき止めてしまう」と声が上がり、県に撤去を求める文書を提出した。

 高倉さんも保全を求める住民とともに「桜は美しい日本の風情で、人々に安らぎを与える」と署名活動を行い、県や市に提出。河川の景観か、治水かをめぐり、論争が続いていた。

 河川を事実上管理している福岡市によると、川沿いの植樹自体が違法。「木が大きくなり、根がブロックの堤防を壊す恐れがあるため」(東区維持管理課)、今回は高倉さんらの承諾を得た上で、伐採に踏み切った。高倉さんは雪が舞う中、桜が切り倒される様子を見ながら「今年は寂しい春になりそうだ」とつぶやいた。

この記事は2017年02月11日付で、内容は当時のものです。

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