朴大統領を罷免 韓国憲法裁 国政介入事件「違法」

 【ソウル曽山茂志】韓国の憲法裁判所は10日、国会に弾劾訴追された朴槿恵(パククネ)大統領について、親友の崔順実(チェスンシル)被告による国政介入や財団の資金集めを「国民の信任を裏切り、容認できない重大な違法行為」と断定し、裁判官8人全員の賛成で罷免を決定した。大統領の罷免は韓国憲政史上初めて。朴氏は即時失職し、60日以内に次期大統領選が実施される。投開票は5月9日が有力視されており、大統領選の動きが本格化する。

 聯合ニュースによると、朴氏は罷免決定後、官邸で会議を開き「(国民に)話す言葉はない」と述べた。大統領代行の黄教安(ファンギョアン)首相は国民に謝罪した上で憲法裁の決定を尊重する考えを示し、「葛藤と対立に決着をつける時だ」と団結を呼び掛ける談話を発表した。

 憲法裁周辺では罷免に反対する市民らと警察が衝突。男性2人が死亡し、けが人も70人以上出るなど国内で混乱が広がっている。

 昨年10月末に表面化した一連の疑惑は、大統領失職という前代未聞の事態に発展。朴氏は1979年に暗殺された父、朴正煕(パクチョンヒ)大統領(当時)と同じく任期を全うできなかった。

 憲法裁は、(1)朴氏が崔被告側に人事や国務会議資料などの機密文書を渡した(2)文化とスポーツ系の2財団を設立し、大企業から計774億ウォン(約77億円)を集め、崔氏とともに支配した-と認定。決定を言い渡した李貞美(イジョンミ)所長代行は一連の行為を「大統領の地位と権限を崔被告のために乱用した」と指摘し、機密文書の流出は国家公務員の秘密厳守義務に違反するとした。疑惑を一貫して隠蔽(いんぺい)し、捜査に非協力的だった朴氏の姿勢も「順法精神がない」と批判した。

 一方、旅客船セウォル号沈没事故当日の朴氏の対応については、弾劾事由に当たらないとした。

 朴氏を巡っては、2月末に捜査を終えた特別検察官(特検)が、崔被告と共謀してサムスングループから多額の賄賂を受け取った収賄容疑者として認定した。韓国の大統領は内乱罪などを除いて在職中は起訴されないが、罷免決定を受け、特検の捜査を引き継ぐ検察が朴氏の捜査を本格化させる。収賄容疑などで逮捕、起訴される可能性がある。

 次期大統領選では、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)前代表が支持率でほかの候補を大きくリードしており、政権交代の可能性が高まっている。

この記事は2017年03月11日付で、内容は当時のものです。

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